show stopper

先日友人と酒を呑みましてですね。
この友人は高校以来の友人で音楽活動を一緒にしていた中なので自然に音楽の話になった訳ですよ。
で、高校の時の先輩がプロで活動しているんですけど、その人のライブを友人が観に行った時の話になったんですよ。
先輩はドラマーなんですけど、とにかく叩きまくっていて、それを見た友人が「いや、先輩にデニス・チェンバースは求めてないですから。あれは元々筋肉が違うんで。オマー・ハキムを目指してください。」って言ったらしいです。いやしかし俺もそいつも目上の人間に対して遠慮無いなとつくづく思う。


まあ要するに「必要な音を必要な場所に入れてくれている音楽が良い。」っていう実にシンプルな話なんですよね。若い頃は「今このサウンドが凄い」とか言って無理矢理消化していた時期もあってそれもまあ必要な時期はあるんだろうけど、もうさすがに音楽は「上にも下にも自分の感情を良い所に持って行ってくれる物」っていう感覚で選ぶ物になってるんですよね。自分のドーパミンかアドレナリンのどちらかの波長に合ってればそれで良いというか。



っていう話から何故にWWEなのか。
ショーン・マイケルズ(以下HBK)って誰もが認めるプロレスの天才だけど、出してる技ってプランチャ、フライングフォアアーム、ダイビングエルボー、スイート・チン・ミュージックくらいしかないんですよね。アマレスの猛者とかと試合するとレスリングの技術を見せる試合もちょっぴりやったりしますけど。
そこの所が上に書いた「気持ちよい音楽」っていう部分と重なるかなと思って。


紹介しているDVDはHBKとHHHのコンビ「DX」の再結成以降のDVDですけど最高ですよこれ。最高のカリスマ兼トップアスリートがドリフのコントを本気でやったらそりゃ誰もかなわない。HBKはDXの事を「中身は何も無かったけど、ファンは俺たちが表現の限界に挑戦していることを理解していた」っていういい方してますけど、これって凄く客観的に正しく評価していると思いますね。ネタの内容(中身の無さ)を下らないとだけ評価するか演じ手の感性のレベルを評価するか、みたいな部分で踏み絵みたいな物ですよね。
ネタの内容とか試合の内容は割愛しますけど、これを観ると「とにかくDXを絶対的な存在として扱う」っていう事がよく分かります。2対5のハンデキャップマッチで5人全員倒してパーフェクト勝ちなんて普通はやらない。


HHHも技の数は少ないし毎回同じ技しか出さないんですよね。で、気付いたんですけどペディグリーって決まったときの形が相手を完全にひれ伏せさせる形になるじゃないですか。これって結構重要な事だと思うんですよね。技が決まった形が、腕を後ろにねじ上げられて土下座するような形ですもんね。あれは決まった形が「相手を完全屈服させた」っていうイメージがついて有利だと思う。団体がプッシュしたのにファンに評価されなかったエッジとかゴールドバーグとかって得意技がスピアーですよね。スピアーって相手に頭下げる技じゃないですか。この辺がアピールできない理由だと思うんですけど。まあ他にも問題はありますが。
HBKの上にあげた技も、みんな身体を目一杯伸ばした形で決まる技ですよね。見栄えが良い。絵になる。そういうところがスーパースターとして重要だと思うんですよ。


表現の限界に挑戦という意味ではこのDVDのdisc2のラスト、ヘル・イン・ア・セル(要するに金網デスマッチ)はすごいですよ。今まで団体の長に好き放題に痛めつけられた意趣返しを全て行うんだけど、「もう十分やりつくしただろ」っていうところから最後のフィニッシュが強烈です。「HOLLY SHIT」コールが鳴り止まないのも当然。ヴァイオレンス表現ではあるのでお子様にはお勧めできないけど、大人のストレス解消には最高の一品でしょう。