1月7日

(映画の話の続き)
北野武監督は・・・あれは女優を好きで撮ってる感じじゃないですよねえ。強いて言えば自分の生まれ育った環境を撮ってるのかなあ。
理不尽な暴力って昔の下町そのものなんじゃないですかね。それがトラウマになっていて理数系に走ったと。1+1=必ず2になる世界は気持ちいいんでしょうね。「のび太+スネ夫は2だけど、のび太+ジャイアンはお前のものは俺のものだから1」とか言われたら困っちゃうもんなあ。
北野監督といえば「映画は因数分解という事を言ってるんですけど、これは非常に良く分かるんですよ。意訳すると「頭が良いと言う事は物事をシンプルに出来るという事だ」って事だと思うんですよね。アインシュタインが「E=MC^2の公式は理解したんですけど、実際それがなんの役に立つんですか?」と質問されて「だってかっこいいじゃん」って本気で答えたという。これなんか北野武言う所の「因数分解」の極致じゃないですかね。
武藤敬司のプロレスなんかもそうだと思うんですよ。
今のプロレス(には限らないですが)の何がつまらないって「机パワーボム+雪崩式フランケンシュタイナー+619+・・・」って技をひたすら足せば良いと思ってるからつまんないんですよね。
武藤先生はこの式をじっくり眺めて「これとこれは括弧で括っちゃえばいんじゃね?」と思っちゃうんでしょう。
A=雪崩式+エプロンサイド+場外
A(ドラゴンスクリュー+シャイニングウィザード
とかまとめちゃってるんですよね多分。だから相手がチェーンを使って攻撃してきたら「A」に「チェーン攻撃」を代入してアレンジが利いちゃう。
要するに一度に一つの事しかやってないんだと思うんですよ。っていうか出来ないんですよ普通は。それをわかってるからその「一つ」の内容を物凄く濃くする作業に没頭する。そういう感覚だと思うんですよね。
製パンの知識もそうで、結局「一つ」の事しか出来ないんですよ。ただしその「一つ」の事が複数の効果をバラバラな方角にもたらすんですね。そこをみんな勘違いしてるんですよ。そこで「こういうやり方もある」とか「こういうのも面白い」とか言い出すからダメになるんですよね。
競馬もですね。僕は因数分解してどんどんシンプルにしていきたいんですね。前にも書きましたけどサンデーサイレンスというとてつもない成績を残した大種牡馬がいたと。当然その後継者が続々誕生していると。そうなった場合のサンデー系の考え方としてじっくり眺めて場合「サンデー×ノーザンダンサー種牡馬はひとくくりにしていいんじゃね?」とか「サンデー×凱旋門血統はひとくくりにしていいんじゃね?」とか色々因数分解してみるんですよ。
ここで大事なのはその事自体が正解かどうかが全てではないという事なんですね。当然矛盾点も出てくるわけなんですけど「ここが矛盾です。反論できませんね。はい論破」とか言って終わらせている様ではダメなんだよと。試しに因数分解してみて、視点を変えてみて初めて見えてくるものというのがある訳で、そこが一番重要なんですよね。論破厨が一番物事の本質から遠いんだよと。