昨日は東京競馬場の改築全部終了記念(?)という事で、全レース終了後にダービーorオークスを勝った事のあるかつての名ジョッキー達による特別レースというイベントがありました。
これはかなりの好企画でしたね。引退してなお53.5kgで乗れるほど節制していた事が功を奏してか見事にレースを制した河内師、寡黙なキャラだったと思っていたのにやたらと喋りが長いマーク屋的場師、何歳になっても好青年な松永師、色んな面が面白すぎて一遍にファンになってしまった根本師…
みんな最高だったけど、やはりシンボリの勝負服を着て馬に跨る岡部はしびれますね。
岡部幸雄と言えば野球で言えば王と金田を足したくらいの偉大なジョッキーですけど、(もちろん実際に会ったことはないので、少なくともメディアで確認できる限り)この人ほど人間の出来た人もいないんじゃないですかね。
youtubeなどで岡部引退セレモニーを観る事が出来るけど、最高ですよ。現役ジョッキーからの送辞があるんですけど
武豊「岡部さんの記録をいっぱい抜いちゃってごめんなさい」
岡部「もっと頑張って全部抜いちゃって下さ〜い。よろしくお願いしま〜す&hearts」
田中勝「今までいっぱいいじめてくれてありがとうございました(笑)」
岡部「勝春君にいじめられなければ、僕もまだ現役で頑張れたと思いま〜す&hearts」
と、50過ぎのおっちゃんの台詞の語尾に思わずハートマークをつけたくなるくらい、いちいちかわいいやり取りが最高。
最後は現役ジョッキーたちが手作りのお神輿に岡部さんを乗せてファンの前を練り歩くという、年収数億円の人達がやるにはどうにもDIY精神が溢れすぎている企画も岡部さんに似合っていると言えば似合っていて、あれほど誰もがニコニコしている引退イベントはアニマル浜口引退試合(浜さんが延々自作の詩を披露し続けて客も選手もみんな半笑い)以来じゃなかろうか。
男は常にこうありたいものである。

ついでに、といってはなんだがこのレースは久々に杉本清:元アナウンサーが実況を務めた。
レース自体がグダグダだったせいもあってか実況の内容はちぐはぐではあったけど、やはりこの人の声は才能。年数回でいいからいつまでも実況を続けていただきたい。
意外と知られていない事だが、古館伊知郎がプロレス実況担当になった時に参考にしたのが実はこの杉本清さんの競馬実況らしい。本人がそういっていたのだから間違いない。
古館実況と言えば大げさに叫ぶ実況で名を馳せたと思われがちだけど、試合開始から七五調で淡々と状況説明をし、クライマックスで決めの名ゼリフを叫んで盛り上げると言うスタイルは、実は競馬中継からヒントを得たそうだ。つまり競馬のゴールシーンの「菊の季節にサクラが満開!」と、プロレスのハイスパート時の「現代のネプチューン三叉の槍!」は同じなわけだ。ここら辺が古館伊知郎と他の邪魔くさいだけのアナウンサー(例:ゴール×28回の船越@セクハラ)と一線を画す部分なわけだ。
清さんも競馬実況の第一人者で重鎮でありながら全く尊大な所がなく、当日のメインレースを予想するコーナーでは井崎先生と延々競馬の話が止まらなくなり、リポーターの女の子が一言も口を挟む隙が無く困らせている所が何となくかわいくて最高。司会の福原アナの尊大な態度がどうにも鼻につくので余計に際立ってしまう。

男は常にこうありたいものである。