「吐き気をもよおす邪悪とはッ なにも知らぬ無知なる者を利用する事だ・・・・・・!!
自分の利益だけのために利用する事だ・・・
父親がなにも知らぬ『娘』を!!てめーだけの都合でッ!
ゆるさねえッ!あんたは今再びッ!
オレの心を『裏切った』ッ!」


ジョジョ第5部の個人的にはクライマックスな名場面。マフィアのボスの娘をボスの元に無事に送り届ける任務を終えたブチャラティが、ボスの目的は娘を殺して自分の正体の痕跡を無くす事だと知り、激怒してボスを殺す事に目標を切り替えるシーンです。
僕はジョジョでは第5部が一番好きなんですけど(第4部とどっちかは迷うけど)、第5部はブチャラティというかスティッキーフィンガーズというスタンドを思いついた時点で成功決定だったんじゃないですかね。敵の裏からジッパーをあけて出てくるシーンが最高にかっこいい(例:VSグレイトフルデッド&ビーチボーイズ)。ホラー映画っぽい緊張感が溢れて最高ですよね。
ボスとの戦いでも機転を利かせて脱出しますけど、時を止めるタイプの敵と初対戦であんな機転を利かせられるのってひょっとしてジョジョキャラ史上最強なんじゃないですかね?


荒木飛呂彦先生は「悪い事でも信念を持って一生懸命頑張ってる奴は応援する」っていうスタンスなんですよね。まあ正義の基準なんてその場によって変わるものだから、僕もその意見は支持しますね。もっと捻った言い方すると、自分の行動の根拠に「正義」を持ち出す奴が嫌いなんですよ。だから新興宗教とか社民党とか嫌いなんだよなあ。
で、そんな荒木先生が「吐き気をもよおす邪悪」とまで言い切るボス(ディアブロ)の邪悪さって要するに「チート」って事なんでしょうね。
コムスンだのミートホープだの社会保険庁だの不二家だの、うんざりするような事件ってこの「チート」さが肝だと思うんですよね。今の世の中、責任者が責任取らないですからね。僕の基準では上司っていうのは責任を取ったり部下におごったりするために高い給料もらってるんだと思うんですけど、少なくとも僕が今までに出会った人の中にはそういう人間はただの一人としていなかったですね。問題は全部部下に押し付けて「管理者」としての役職手当をもらう精神構造が、僕には1ミリたりとも理解できないんですけど。今はそのゆり戻しで内部告発でそこらじゅうの企業が壊れてるわけですな。
ここまで書いて自分で気づいたけど、ディアブロってひたすらに隠ぺい工作によって組織を作ってきた人間とも取れるなあ。荒木先生の中ではこういう生き方が卑屈=最も邪悪なんじゃないですかね。
荒木先生はエヴァが大嫌いらしいですけど、確か理由は「主人公が卑屈だから」なんですよね。正義か悪かよりも、卑屈か堂々としてるか、が正しい生き方の基準なんですよね。子供には難しいんじゃないかなぁ。青年向け道徳の教科書ですね。