※今回ちょっと吉田豪の書評の星座風

さて、先日「アニメ版カイジは目新しい物が一切感じられない駄作」的なことを書いてしまったんですけど、あの時はまだ第一話をネット上でチラ見しただけの状態だったんですよね。第二話を観た今、「これは凄い」とあっさり前言を撤回します。ていうか烏龍茶吹いた。

カイジはですね。もう原作を飽きるほど読んでいるので今さらストーリーがどうのとかそんな事はどうだっていいんですよ。本当は別に観る必要は無いなと思っていたんだけど、オトナアニメ誌上で
「深夜アニメを切り開いた日本テレビ名物プロデューサー中谷敏夫氏インタビュー」というものが載っていて、そこで中谷君が
「いまのアニメってクオリティ自体は平均点で下がっていると思う。」
「手間暇かけてる感や、メッセージ性であるとか、大事な何かが欠けているものが非常に多い」
「観たあと何も残らないでしょ?」
「『死ね。萌え』と思っている。」
「アカギを業界の人に、メリハリの効いた演出が目から鱗だったと褒められてびっくりしているんです」
「世界初の逆萌えアニメ
等と実に大言壮語しまくっていたので「そこまでいうなら観てあげよう」と思ってみたのだが・・・。
何に笑ったかというとですね。本編の最後に「CMの後カイジ箴言!」とテロップが出て、何事かとCMの終了を待っていたらいきなり砂浜とビキニ姿の女の子(エスポワールエンジェル)がイメージビデオのように楽しげにはしゃぎ始めたんですよ(その際にカイジの名言がテロップで出て来るんだけどそんなの見ちゃいられない)。
いや〜これにはびっくりした。思いっきり 萌 え 押 し だよ!!
「『死ね。萌え』と思っている。」とまで言い切っておいて深夜番組のお約束そのままに砂浜ではしゃぐグラビアアイドルの映像って!!これは確かに観た後何かが残るわ!!さすが中谷君業界人、ギャグのレベルが高過ぎてついていけないよ!!カイジの公式サイトに掲示板でもあれば「エスポワールエンジェルの阪本麻美たん萌え〜」ていう感想で埋め尽くしてやろうかと思ったんだけど残念ながら設置されていない様子。

根本的にですね。
中谷君は「狂ってる」を連発していることから分かるように、カイジをアニメ化する事を物凄く掟破りなことに挑戦している、ぬるま湯に浸かった社会にアンチテーゼを唱える革命家ぐらいに自分の事を思い上がっていることがよく読み取れるわけだが、その割りに「人間競馬で人が落ちて死ぬじゃないですか。これって死ぬことが重要じゃなくて、本人が落ちたら死ぬと思うことが重要じゃないですか。そういうトリックは使いますよ」等と物凄く予防線を張ることに気を使ってばかりでいったい何がやりたいんだか。
今回も利根川の「Fuck You ぶち殺すぞ・・・・・・・・・ゴミめら・・・・・・!」が「Fuck You」抜きだったし。
そもそもタイトルからして「賭博黙示録」が原題なのに「賭博は軽犯罪法違反だから」と考査で言われてカイジの本質をひっくり返すような言い訳を始めて「逆境無頼」とかいうタイトルに変えちゃうし、非常に保守的な小市民的人間性ばかりが露になっているというか。どこら辺が無頼なのか教えていただきたい。
「放送コードを甘くみるな」という反論もあろうが、そんな事は「撲殺天使ドクロちゃん」という軽犯罪どころか死刑確実なタイトルのアニメを堂々と地上波で放送まで漕ぎ着けた川瀬&伊平プロデューサーはじめドクロスタッフにまず謝れ。もしくは主題歌つながりで、女子高生に「終わらない歌」をノーカットで(つまり「キチガイ扱いされた日に」も原曲そのまま)歌わせて映倫の審査を通させた「リンダリンダリンダ」のスタッフに土下座して来い。この程度のカスが「日本に敵はいない」ってただ相手にされて無いだけだろうが。
上に書いた通り、主題歌が「ブルーハーツのカバー」という相変わらず人のふんどしでしか相撲を取れない読売グループ体質丸出しの姿勢も脱力だが、
ブルーハーツに対抗する名前は何なのかなと思って。そこで思いついた(カバーバンドの)名前が「レッどぼんチリーず」略して「レッチリ
という一ミリも笑えないエピソードに「(笑)」を付けるセンスも脱帽だ!!。
そして究めつけに冒頭の「CMの後〜」という演出。

・・・もう20世紀になって随分経つというのに、いまだにこんな「視聴者よりスポンサー第一です」感丸出しの演出も無いと思うんだが。まあともかくスポンサー様への「手間暇かけてる感」や「メッセージ性」だけはビンビン伝わってきたのである。それは確かに大事だろう。欠かしちゃダメだよね。スポンサー様への恭順の意思は。


この、いかにも昔の深夜番組的お約束シーンを観て思うに、中谷君が「死ね、萌え」と思いつめるまでにアニメの萌えキャラを嫌悪するのは、「折角権力を手にしたのに、アニメじゃあグラドル系ダクションの女の子の枕接待を受けられないじゃないか!それだけが楽しみでテレビ業界入りしたのに!」くらいの気持ちなんじゃないだろうか。その方が全てつじつまが合う気が。さすがバブル世代。クリエイティビティを一切感じさせず、見えてくるのは接待と営業だけで世の中を渡り歩いてきた処世術だけだよ。こういうカスって良く「俺も昔はワルでさあ〜」とか聞いてもいないのに語り始めるんだよね。傍から見てると笑えるんだけど実際に身近にいると迷惑この上ないんだよなあ。
普通にテレビ局のプロデューサーレベルの権力を持っていて、それなりの志があればもうちょっと原作ファンの側に歩み寄った演出ができそうなものだが。
ていうか「逆萌え」まで言い切ると言う事はカイジきっての萌えキャラ、美心の登場は無いということか。残念!!