さて、今年の横浜ベイスターズをまずは印象的なトピックからあげてみましょうか。
☆中盤まで首位争いを繰り広げ、失速したものの71勝72敗でシーズン終了。
☆村田本塁打王
☆日本一球団:中日に唯一勝ち越し。
☆最高防御率成瀬に唯一の黒星を付ける。
藤川球児を2試合連続KO。
ざっとこんな感じですかね。
本塁打王を抱えながらチーム本塁打数は4位。一方で、Bクラスチームながら他球団が苦しみまくった相手はあっさり攻略。
昔は漁師が大漁旗を振り回す荒くれイメージだったのが球団名を変えて大分洗練イメージになった気がしていたんですけど、三つ子の魂百までというかやっぱり大雑把なイメージは変わってないんですねえ。まあその芸風が好きでファンやってるんですけど。
次に数字で具体的に見ていきましょうか。
1)得点569/失点623で71勝72敗。
2)完封13はリーグ1。完投数も多い。
※ちなみに完投数はヤクルトと広島が10で並んで1位。横浜は9。今年のセリーグは投手成績の良いチームから順に完投数が少ないという面白い結果に。
3)与四球数はリーグ1。
4)盗塁数はリーグ最低。
5)三振数はダントツで一番少ない。
※横浜のシーズン三振数は835。二番目に少ない広島が931だから凄い少なさ。ちなみにリーグ最多は中日の1049。一試合平均にすると横浜より1.5個くらい多い。今年のセリーグは三振数が多い3チームがAクラス、少ない3チームがBクラスときっちり分かれる結果に。
6)三塁打が意外と多い(リーグ2位)。
7)二塁打数もリーグ二位。安打数での割合なら一番多い。
この辺が目に付きます。
1)、2)、5)辺りを見るとなんか緻密で細かい野球をやるチームみたいに見えちゃうけど。
完封&完投数には驚きましたね。毎日那須野と木塚とホセロがボコボコ打たれている(ホセロはボコボコフォアボールを与えている)印象があったので。
ただ、上に書いたように今年のセリーグは投手成績が良いチームから順に完投数が少ないんですよ。今さらではあるけれど、もう「継投」って「打ち込まれて限界だから仕方なく代える」っていう発想じゃダメなんですよね。JFKを擁する阪神みたいに特殊なチームはともかく(ていうか阪神の「完投数3、完封数12」っていう数字はかなり異常)、横浜みたいなチームはむしろ「中継ぎのローテーション」というか、通用しなくなりそうならすばやく2軍と入れ替えるくらいの発想の方が良い気がする。査定もそれに見合ったものに変更する事を明言して。もちろんシーズン通して頼れるセットアッパーがいれば全く問題ないですが。
ところでセットアッパーですけど、「どのイニングで点を取られた時にチームは負けるか」「どのイニングまでリードしていれば勝てるか」みたいな観点で見ると九回って結構どうでも良くて6,7回をどうやってやりくりするかがポイントなんですよね。
三振なんですけど、ここまで極端に少ないとまでは思いませんでしたが、まあ三振するよりは凡打が多いチームだなとは思っていました。
ちなみに「{打数ー(安打数+三振数)}/打数」という数字(そんな数字データ上は無いので仮に(凡打率)と命名)は、やはり横浜がぶち抜けて一位。以下広島、阪神ヤクルト(ほぼ同数)、巨人、中日の順なので「凡打率が低いチームが強い」「無駄に打つくらいならむしろ三振しておけ」という結果に。確かに三振するっていう事は相手投手に多く投げさせる=継投予定を狂わせるという事に繋がるといえなくも無いですからね。
一方で「完投数が少ないチームほど強い」という数字が出ちゃっているんだから、
「相手の継投を狂わせる/こっちの継投を予定通り行う」
という事が戦略上重要という形が透けて見える。
3)はホセロが牽引役。ホセロの能力はともかく、こういう投手を「最も失点してはいけないイニング」に使う起用法が問題あったと思うんですよね。
話はずれるけど、ホセロは一年で解雇なんですよね。うまく使い続ければその内良くなりそうに見えたのに。まあ「使えない」と判断するのは構わないんだけど、今までドラフトでもとことん素材型の選手を取って芽が出ずに消えていっているのは何なんだろうと思いますけどね。
4)は言われなくても分かってるよ!というヤツですね。まあ「盗塁は効率の悪い攻撃方法」というデータもあるので数だけで語るのは意味が無い。
それより、6)、7)、と合わせて見ると、実は選手は足は速いというか走塁が下手なわけではないんだろうなとは想像できますよね。今の球場の中では狭い部類に入る横浜スタジアムを本拠地にしてこの数字ですから。こんなに三塁打打ってるチームだとは思わなかった。まあ佐伯さんがやたら打ってた気はしましたが。
こうして見ていくと、1)の「失点のほうが随分多い割には健闘している」という印象はあったので「意外と試合運びは上手かったのか?」と思っていたんですけど、「攻撃陣は当てる技術や走力はトップクラスで、投手陣も完封、完投能力はリーグ一。エース格相手にも格負けしない。なのにBクラス。」という「ベンチワークで負けてるんじゃねえの?」という疑問が。
余談だけど今年のクライマックスシリーズで一番驚いたのがウッズとスンヨプの乱闘・・・ではなくその直後の中田賢一のピッチングなんですよ。コントロールの悪さは折り紙つきの投手が絶対手が出ないコースに3球全く同じ様に投げて三振。あれができる投手は強いですよね。まあ横浜ファンとしては、ピンチに三球続けて同じストライクゾーンに構える谷繁が異様に懐かしかったですけど。
対照的に数字上のコントロールは良くてもランナー出すと全然だめな投手もいますからね。今年のドラフトではそういう意味で「頼りになる」選手を次々指名してくれたので嬉しいです。もちろん加藤幹典もこっちのタイプ。京都外大西本田拓人君もこのタイプだと見ていたんだけど指名されず残念。まあ彼は必ず出てくるでしょう。