続き


特にソララドアペンド。これ持ってない人は相当に可哀想だと思いますね。特に「風の少女」の面白さは普通の「ミュージシャンの音楽」ではちょっと体験できないですよ。


この曲、「変拍子だ」とか「ワルツだ」とか人によって聴こえ方がまちまちなんですけど、これって6/8拍子でしょ。
途中で仕掛けが有りまくって5/8→7/8→6/8みたいに聴こえて変拍子と捕らえる人がいると思うんですけど。まあ「途中で拍子が変わる曲が変拍子」とか「4拍子と3拍子以外は全部変拍子」とか解釈が違うのであまり深くは踏み込みませんけど。
6/8をワルツと捉えて良いのならこの曲は変拍子ではないと解釈する方が正しいとは思うんですよね。と言うのもですね。この曲作ってる人は完全にPCで作曲している訳で、楳図かずお先生の「パソコンで作曲しようと思ってパソコンを買ったけど、4拍子を3拍子に変える手続きが難しすぎて諦めた」という名言に代表されるようにPCで作曲する上で途中で拍子を帰るのは凄く面倒くさい事だと思うんですよね。それならば拍子の頭かケツで拍が始まる擬似変拍子を使う方が自然ではないかと。
まあ要するに「パーツだけ作って、頭の部分を1拍ずらす事によっておもちゃっぽさを表現した」とも言える訳で、鳥の詩の時に「どんどん半音ずつ転調して行って、ブロックごとにクリシェしていく事によって、不安定感を作り上げて観鈴の悲しい運命を表現できている。言ってみればオブジェクト指向の作曲」と思ったんですけど、これも同じ感覚だと思います。バンドで作っていたら絶対できないタイプの曲だと思うのでゲームミュージックらしさも出ていて素晴らしいなと思います。


ちなみに複雑な拍子の数え方ですけど、「1,2,3,4,5・・・」で数えると大抵分からなくなります。なので身近な単語をそのまま使うのが一番効果的。僕は池袋育ちなので「3拍子は目白、4拍子は大塚、5拍子は池袋、6拍子は高田馬場、7拍子は東長崎・・・」と数えるようにしていました。「風の少女」も「タ・カ・ダ・ノ・バ・バ・・・」と数え続ければちゃんと6の倍数で吐く数が終わる事に気づけるはず。はずなんですけど、それでは味が無い上に頭の「タ」と終わりの「バ」が同じ母音なので混乱するんですよね。というわけで、「イ・ブ・キ・フ・ウ・コ・・・」と唱えながら拍を数えてみれば、この曲の数々の仕掛けをしっかり感じる事ができて楽しさが増すと思います。是非お試しあれ。
そんな仕掛けも含めて、頭のショパンの子犬のワルツをちょっぴり思わせるような単音を転がすピアノやおもちゃっぽい音をわざと使うところ、そしてつんのめりそうな上記の仕掛け、それをとっても風子らしさを表現十分に表現した上で音楽としてのレベルもかなり高い、そして誰もが楽しい曲と思える最高の曲といって過言では無いでしょうね。いや、もちろんわざと言い過ぎてるんですけど、「ミュージシャンがミュージシャンとして作った作品」のつまらなさと比べてやはり際立つ。