+/-

今日はですね。「+/-」と言うアメリカのインディーズバンドのライブを観てきました。この記号がバンド名で「plus/minus(プラスマイナス)」と読みます。多分世界一検索しにくい名前です。正直非常に困ります。


今年僕が観たライブって、仙波清彦師匠とこの+/-と友達のクラシックギター演奏会だけなんですよね。我ながら理解不能な趣味してるなあ。


でライブの内容なんですけど。
最初に大批判をさせていただきますけど長過ぎる。19:00開演で終了が23:00過ぎって有り得ないだろ。何で対バン3つもあるんだよ・・・。肝心の+/-の演奏の途中で半泣きで帰っていった人がいたけど、遠くから来た人は終電間に合わないもんなあ。


で、肝心の+/-。
これがまた最高だったんですよ。
このバンド、ポストロックというくくりにされてるみたいですけど、聴いていて僕は「言葉通りの意味のプログレッシブロックなんじゃないかなと思いました。
いわゆる「プログレ」ってほとんどがロックと他のジャンルの音楽のフュージョンじゃないですか。
でもこのバンド、ロックをロックとして進化させたらこうなりました〜みたいな印象なんですよ。僕の中で。ロックがロックとしてプログレスした音楽。


素人バンドなんかでも、「上手いバンド」が「格好良い事」をやろうとすると絶対にファンク入っちゃうんですよね。僕はファンク自体は好きですけど、そういう方角でのファンクビートは大嫌いなんですよ。でも「上手い人」って絶対ファンクになっちゃうんですよね。
ところがこのバンド、テクニック的には僕が今まで観たバンドの中で一番だと思うんですけど、基本的に八分音符なんですよね。変拍子も多用するバンドなんであえて8ビートと言わずに「八分音符」といいますけど。曲自体も素晴らしいけど、その点がこのバンドを特別にしてると思うんですよ。


例え話をすると、昔プロフェッショナルレスリング藤原組というプロレス団体があってですね。その団体の最後の興行で藤原組長と弟子が対戦したんですけど、藤原組長が「片エビ固め」を極めただけで弟子の選手がギブアップしそうになって会場がどよめいたんですよね。逆片エビじゃないですよ、片エビ固めですよ?フォールする時のヤツ。それを、膝と頭がくっつきそうなくらいがっちり固めて「あ、これはギブアップしてもおかしくないくらい極まってるな。プロレスのフォールってただ単に身体を乗っけているだけでなく本来はあそこまでがっちりと相手を身動きできないくらいまで固める物なんだ」って思い知らされた訳なんですよ。それだけ説得力がある片えび固めだったんです。いわば基本を極めれば基本だけで十分エンターテインメントとして成立すると。


 +/-もですね。例えば16分でジャカジャカと掻き鳴らすのを、頭の音だけ休符にすると。その「16分休符」が完璧な16分休符である事によって物凄く格好良い。そういう事だけで魅せちゃう事が出来るんですよね。こういうバンドって多分あまり他にいないと思うんですよ。そしてそれは僕が最も望むところなんですよ。基本の知識だけで勝てちゃうっていうのが。