日本人の英語


さて、いわゆる名作として名高い御本を読んでみましょうかという事で。
この本、確かに面白いです。僕は「勉強になる」というより「面白い」と思いました。レビューなんかを読むと「引用する例文が映画などのセリフでわかりやすくて面白い!」等と言う蹴り殺したくなるような下らない理由でこの本が評価されてるみたいですけど、むしろ逆と言うか、英作文の実践的な理解度がつくと言うのはあくまで結果論で「英語学」の解説論文ですよねこれ。違ってるのかもしれないけど俺はそう取った。


これを読むと定冠詞や可算名詞、完了系の各種類など「文法」の解説が論理的に語られているんですね。そしてこれらの単語やイディオムを使うだけで、例えば「彼は過去に○○の勉強をしていた」という文章に「今でも勉強し続けている」または「その時は一生懸命したけど今がそれが活かされていない」等のニュアンスをこめることが出来る。故に英語と言うのは実に論理的に機能的に説明をする能力の高い言語であるのだと。


まあ僕は英語の事はちっとも分からないので(知っている英語はholly shitとかsuck it!とかand that's the bottom line、 stone cold said so!位なので)それが正しいのかどうかはわからないですけど言いたいことは非常に良く伝わった。最近良く「あなたの話は回りくど過ぎて伝わらない→プレゼンの技術教えます」みたいなハウツー本良く見かけるじゃないですか。多分、「これは○○で・・・あ、○○と言っても△△に関しては××で・・・」みたいな「言いたい事を簡潔に一文の中に込める」という作業がおそらく英語の方がスムースなんでしょうね。無意識に英語環境に慣れつつあるから上に上げたようなハウツー本が必要な気がしてきてるんじゃないかなと。感覚的には、英語の方が対象の置かれたポジションを(時間的にも空間的にも)説明する能力が高いんですかね。余談ですけど中国では三人目からが「他人」という考え方をするらしく、二人で言い争いになった時は二人で大げさにアピール合戦をしてそれを第三者が判定すると言うルールだという話をどこかで読んだ事があるんですけど、そういう国ごとの価値観とかお国柄を言語の観点から見ると結構わかりやすいのかも。アメリカ人って大雑把な性格のくせに妙に細かくこだわる部分があるよなあ・・・とボンヤリと感じていたけど、対象物の置かれている状況が正確に規定されていない事にイライラを感じるのかもしれない。


と、考えてみるに、そもそも日本語には無い概念を覚える必要があるんだから、学校教育の最初の部分でいきなり文法を教えてもそりゃわかるわけないし率直に言って効果的じゃないですよねえ。小学生から英語を授業で教える事にするらしいけど、小中学校まではひたすら単語を覚える「英単語」と言う授業にした方が良いんじゃないですかね。そして高校生から文法を教えると。単語だけでも意思の疎通はできるわけですからね。「I, have, no, umbrella, cold, problem」とか言えばどう考えてもその状況は伝わる訳で。これで「何を言いたいのか全然わからない」と言う人間がいたらそれは英語以前に人間性に問題がある訳で。むしろ日本語の文法を一生懸命頑張って理解した子の方が英語の文法で戸惑う可能性もある訳でそりゃいくらなんでも可哀想。単語だけでも意思の疎通が出来るようになって「でもこれだけじゃ細かいニュアンスを表現できない!もどかしいからもっと勉強したい!」ってなってから文法を教える方がどう考えても理想的ですよね。まあこれ以上いくと「この国における学問とは・・・」とか「そもそも文部科学省が(自主規制)」とかとりとめもない方向に行っちゃうからこの辺にしておきますか。
とりあえずこの本は、英語の勉強をする気が無くても面白い本です。