TOKYOハンドクラフトギターフェス

K-1を作った事で知られる石井和義:元館長が、先日雑誌のインタビューに出ていたんですけど、超高級ホテルで撮影の許可をもらえるかオドオドしているインタビュアーに対して
「撮らせてもらえますか?」と聞くからダメなんだよ。「撮りますよ?」と聞けば、大抵大丈夫だよ。
とおっしゃっていたんですよ。
一見すると「腕力でゴリ押しする厚かましい人」という風に見えるかもしれないですけど、僕の感覚では、前者の場合は「お前が許可したんだから何か問題が起きても全部お前の責任にするからな!言質取ったからな!」という風に見えるんですよね。僕には後者の方が責任感がある様に見える。こういう皮膚感覚はさすが石井館長だなと思いますね。


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さて。私のサイトの掲示板にチラッと書いたんですけど、先日「TOKYOハンドクラフトギターフェス」という物に行って参りました。
要するに、ギター職人さんの展示会ですね。色々面白かったですよ。トーレスという歴史的な名器の写しを作っていたり、竹で出来ているギターとかレイズドフィンガーボードといって、ハイポジションでも指が入りやすく弾き易い様に作ったギターとか、一木くり抜きで作った裏面がフラットなマンドリンとかめったにお目にかかれない代物が一杯あったんですけど、その中で私が最も心魅かれたのがリュートなんですよ。

これはバロック時代のドイツのリュートですね。弦は24本ですけど、低音弦が2本指板の上に単弦で付いていて残り22本が11組の複弦になっているので24本。クラシックギターと違って爪で弾いてはいけない(というか爪で弾くと複弦を同時に鳴らせられない)のでギターとの共有は出来ない。弦のテンションが低くてポヨンとした感じなので、アンプに繋いでいないエレキギターを弾くような脱力感が有りますけど、弾き方一つで音に全然違う表情を付けられるので、頭に染み付いたギターを弾く感触を拭い去ると実に面白いです。ちなみにホールはこんな感じで、

ダビデの星をかたどった模様。


もう一つ、もっと小さいルネッサンス期のリュートもありました。そちらは写真を撮れなかったんですけど、ペグとホールがそれぞれハートをモチーフにしていてかなりかわいいです。


ところで、リュートは弦の幅がご覧の通り物凄く広いので、弾く時は右手の小指を1弦?の下辺りのボディーに置いて、親指を大きく広げて低音弦を弾く様な形になるんですね。
これを観て僕が真っ先に思い出したのがいかりや長介なんですよ。
エレキベースにも、同じ様に1弦の下部にフィンガーレストが付いていて、そこに小指を乗せて親指で弦を弾くスタイルが有って、何故か「いかりや奏法」と呼び習わされているんですね。いかりや長介のスタイルがバロック期のリュートに有ったと思うと楽しくないですかね?ハイソな方々には激怒されそうですけど。


で、今回友人の連れで視覚障害者の方と一緒に遊んだんですけど、初めて知ったのは、目の見えない方でも、気に入った物は写メを撮ってもらっていくんですよ。写メを撮れば「今日はこんな事をして来たよ」という事を、御家族に報告できる訳ですよね。
こういう事もできるものなのだなと思いました。文明の進化で、普通の人には当たり前過ぎて気づかない事をかけがえもなくありがたく感じる事もあるのだなと。
あと、視覚以外の事に非常に博識で、「ママという言葉を鼻をつまんで言うとパパになる。あれは呼吸の練習をしているんだ」とか色んな事を教えてもらいました。よく、「障害も個性と思って」とか言う人(団体)がいますけど、そんな事すら全く意識せずに普通に遊ばないと、なかなか本当の意味でそういう感覚にはならないと思うんですよね。車椅子の人なんか、「子供の目線の高さから物を観ている、大人の知性と経験と教養を持っている人」になる訳だから、子供に安全な公園なり何なりを設計するには最適な人物かもしれないですよね。わからんけど。普通に友人として何でも聞ける間柄じゃないと、その人の良さは気づけないんじゃないかなあと思いました。って良くわからん締めだけど要するに言いたい事はリュートかわいいよリュートという事ですハイ。