第76回日本ダービー(2)

さて、ダービーです。日本ダービーの展望と予想を書いてみたいと思います。
どこかの芸人さんが「ダービーはお正月」と書いていましたけど、どう考えてもこの落ち着かない感じは大晦日です!!もしくは「卒業式」とか「解散ライブ」とか大団円的なイメージのイベントが当てはまると思います。「ダービー」と聞いて「今日はウチでのんびりするか!」とか「いよいよ今日から新しい日々が始まるなあ」と思う人間が、この世に一人でも居るなら連れてきて頂きたい物です。


さて、ここまで全体の流れとして「2004年っぽい」とか「1997年に似てる」とか書いてきたんですけど、キングカメハメハ候補(アイアンルック)はNHKマイル惨敗でフラグ不成立&ハーツクライ候補(ベストメンバー)は故障で2004年説は消滅。フサイチコンコルド候補(皐月賞の前哨戦までで一旦戦線離脱)もいないので1997も無し。普通に近年の傾向から観てみたいと思います。


そこで、前フリとしてオークスの展望の際に「牝系」の話をちょっと書いたんですけど、今年のダービーは名牝系から買ってみようと思います。


と言うのもですね。2006年の3歳世代がサンデーサイレンスストクロップの世代で、その後の日本競馬の血統の勢力図がどうなるかという事に留意していたんですけど、


2006年:メイショウサムソン=フローリスカップ系(スペシャルウィーク等と同じ)
2007年:ウオッカ=フローリスカップ系(スペシャルウィーク等と同じ)
2008年:ディープスカイ=Miss Carmie系(タップダンスシチー等と同じ)


と言う訳で、普通血統論者が観る「父系」はバラバラで統一感がないけど、単純に「過去に府中2400mのG1を制した事がある名牝系」がずっと勝ってる訳ですよ。
2,3着馬も観てみると、ブラックシェルもフローリスカップ系。アドマイヤメインは後のG1馬:アドマイヤジュピタ(他にあえて探すと、クイーンCダイナカールを倒し牝馬ながら天皇賞で2着したダスゲニーががいますが)、ドリームパスポートサッカーボーイステイゴールドアサクサキングスはジェニュイン、アドマイヤオーラは言うまでもなし・・・と結局G1馬の兄弟は何だかんだで強い(後出しの物もあるのでずるいですけど)。スマイルジャックが謎ですけど、その後連対すらしていないところを観るとよっぽどはまったんだろうなあと思います。儲けさせて頂いておいて酷い言い方ですが(笑)。一応ヨークシャーオークス牝系ではあるんですけど。しかしこう並べてみると、父と母父だけ観て「血統的に軽い」とか言ってる人が馬鹿らしく思えますね。下級条件ならまだしもやはり格のあるG1では筋の通った馬が来る。


ちなみに「人気で期待を裏切った」馬の牝系の活躍馬を見ると、アドマイヤムーンヒシアマゾンがJC2着。フサイチジャンクタイガーカフェ皐月賞2着→ダービー惨敗、ヴィクトリーフサイチコンコルドがダービー優勝ながらリンカーンはダービー8着&JC4着、フサイチホウオーはアドマイヤサンデーがオークス惨敗、マイネルチャールズは中山血統。
サクセスブロッケンを人気馬に入れていいのか分からないので(笑)まずアドマイヤコマンドリンドシェーバーくらいしか見当たらず、ちなみにサクセスブロッケンは母親サクセスビューティオークス16着。
アドマイヤムーンの牝系(ヒシアマゾンがJC2着)の解釈に困りますけど、以下の理由で消しでよろしいかと)。


・・・という事を踏まえると、やはり「過去に府中2400mのG1を制した事がある名牝系」から検討するのは有効な手段ではないかと。アグネススターチ(アグネスレディの孫)やアペリティフ(シヤダイアイバーのひ孫)が全く存在感無しだった事を考えると「過去に府中2400mのG1を制した牡馬を産んだ事がある名牝系」と言った方が良いかもしれない。


ちなみに上記条件に当てはまるのに負けた唯一の例外の馬にパッシングマークと言う難儀な存在が居るんですけど
Northern Dancer 5 x 4 x 4 x 5
Special、Lisadell 5 x 5 x 4 x 4
Mr. Prospector 3 x 4
Natalma 5 x 5 x 5
というやりすぎ配合なのが敗因ですかね。いくらなんでも5大血統表の中に世界的名牝の名前が7回も出てきちゃ喧嘩するだろうと。
※追記。今良く観たらアンライバルドも「他の名牝(Almahmoud)のクロスを持っちゃってる馬」なんですよね。これはフサイチコンコルドには無くてリンカーンにはもちろんある特徴なので、少なくともダービーに関しては間違った配合の気がしてきた。


そこで今回のメンバーを見渡すと・・・


アンライバルド=Sunny Gulf系(フサイチコンコルドレディパステルネオユニヴァースを出した名牝系)
セイウンワンダー=フローリスカップ系(スペシャルウィークメイショウサムソンウオッカなどを出した「小岩井基礎牝系」と呼ばれる日本の競馬の基礎を成した名牝系)
リーチザクラウン=Miss Carmie系(タップダンスシチーディープスカイを出した牝系)
ナカヤマフェスタ=ツリーオブノレッジ 系(JC2着のパラダイスクリークを出した牝系。他にタイキブリザード等)
トライアンフマーチクインナルビー系(JCで長く世界記録を保ったタイムで2着した・・・とか説明する必要もないオグリキャップの牝系。もちろんキョウエイマーチもG1馬)


といった辺りが目に付く訳ですよ。余談ですけど、皐月賞の段階で「セイウンワンダーは血統的にマイラー。2000mすら持たない」と発言していた競馬関係者や競馬評論家がいました(というかほとんどがそうだった)けど、あまり恥ずかしい発言はしない方が良いのではないですかね?上記ダービー馬や菊花賞馬ダテテンリュウとかを出している牝系×リアルシャダイと言う土台に昨年JCを勝ったグラスワンダー×サンデーサイレンスという配合がのっかてるんですよ。
・・・JC2着まで広げちゃうとスーパーホーネットニジンスキーの親戚でJC2着のアレミロードと同牝系)まで入っちゃうなあ。やっぱりアドマイヤムーンが負けすぎた事も踏まえて「2着は評価できない」事にしましょう。


次に父系ですが。


基本的には、あんまり直線が長いコースを歓迎しないタイプが多いと思うんですよね。マンハッタンカフェとかシンボリクリスエスとかステイゴールドとか。ネオユニヴァースに至っては、昨秋はそれなりに走っていたようですけど、今年になってからの府中の芝開催(今日までの全19日)では何と未勝利ですからね。(※余談ですが某netkeibaの掲示板に「ネオ産駒は府中で芝1800以上は勝ってない」と書かれていますけど私のPOG馬:グラヴィテーションが芝2000mを勝っています。新種牡馬で全く傾向が見えないネオユニヴァオス産駒を「強いけど切れは足りないはずだから母父リファールが良かろう」という理由で指名したグラヴィテーション・・・順調ならダービー候補だったのになあ。)
その上アンライバルドは基本的に人気を裏切る血統だし、スプリングSから人気薄で直行してきたフサイチコンコルドはダービーを制したのに皐月賞を勝って人気で来たヴィクトリーが飛んだ事を考えるとどうなのかなと。それに、いつも書いてる事ですけどサンデー×凱旋門は「府中でさらに良いぞ!と思わせて実は小回り急坂向き」と言うのがデフォルト設定ですからね。
あと以前書いたようにhttp://d.hatena.ne.jp/c-mad/20090508今年の皐月賞は前が壊れて前傾ラップな所がいままでのディープインパクト等の時と違うんですよね。そして、唯一負けた京都2歳Sを観る限り、早めに仕掛けたくはないタイプだと思います。ていうか2戦続けて大ラッキー(スプリングSは、向う正面で、当日交通が麻痺するほどの超向かい風&最後の直線でその風が追い風/皐月賞は、複数の馬がレース中ずっとガリガリやり続けて異常ラップ)になった運の良さは認めますけど、本来折り合いに難の有る馬ですからね。要するに「ザラキーマを唱えられるから当たれば100%勝つけど、一回分のMPしかないから不発即死」みたいなタイプなんですよ。極端な言い方すると。はっきり言ってリーチやロジよりも安定感はないタイプなはず。


そう考えるとセイウンワンダーリーチザクラウンが良いのかなと。
さらに、昨年も書きましたけど過去20年以上も続く鉄の法則で「騎手が乗り替わった馬がダービーに勝った事はない」という事を考えるとセイウンが消えちゃってリーチしか残らない。


上に挙げた5頭だけを評価するとなると、「評価しない」と言って来た皐月賞組ばかり買う事になっちゃう(しかも先週アレが勝ったおかげで、アンライバルドリーチザクラウンは多分全く美味しくない存在になってしまう)ので、別路線組ですけどこれはもうケイアイライジンしかないでしょう!
何度か書いてますけど、「ロジユニヴァースが凄い!!」だの「リーチザクラウン3冠確定!!」だの世間が騒いでいる中で僕はずっと「この世代全部弱いだろ」って思っていたんですよ。少なくとも重賞戦線でビビらされたのって後述する馬しかいなかった。
で、今年一番きつい思いをしたのって“ザ・レースクラッシャー”タイフーンルビーと当たっちゃった馬達なはずなんですよ。スロー逃げをした青葉賞以外はみんなぶっ壊しまくりましたからね。
今年の3歳世代で僕が強いと思っているのはトーセンジョーダンとベストメンバーなんですね。実際無事にダービーに出てくれば競馬通の方々は確実に重い印を打った2頭だと思うんですけど、この2頭は「タイフーンルビーが作った暴走ラップで勝った馬」なんですね。
で、如何にきつかったかというと、とにかくこの馬と走って好走した馬は良く壊れるんですよ。上記2頭もそうですけどベルベットロードもダメージでかかったし、ケイアイライジンが勝った時上位に来たトレノパズルは死亡、メイショウパルマもダメージ大きく放牧の繰り返し。
と、この様にきついレースを制したケイアイライジン。負けたのは折り合わないのを無理矢理押さえ込んでいた時期だけで、段々折り合える様になってきているのと、何より勝つ時は馬体を合わせてしぶとく競り落とすタイプなのが好みです。自分はド派手にぶっち切って勝つ馬は評価しないので。


あと、前哨戦を全て観返した上での感想は「ブレイクランアウトって物凄く府中2400向きだな」なんですよ。特に内枠発走で馬込みで折り合って直線抜け出すレース運び、藤田伸二フサイチコンコルドでダービー制覇した時のような乗り方がバッチリはまると思うんですよね。あの時のダンスインザダークのような目標を狙い撃つ姿が目に浮かびます。スローのマイルなんてこの馬には一番向かないレースでしょう。間違いなく人災で実力が成績に結びついていない馬。大体デビュー間も無い2歳戦でごちゃついた競馬で不利を喰らった(それでも0.2秒しか負けてないんだから大騒ぎする程の事はないレベル)だけで騎手に激怒してその後の設計メチャクチャなんだからこの調教師も意味が分からん。美浦の設備の問題ばかり言われているけど何故関東の調教師はDQNばかりなのかという事も問題にした方が良いと思います。余談ですが今年は当日麻生首相が来るらしいのでそのサインを色々考えていたんですけど、普通に考えたら「トップカミング」だけど一番麻生首相のキャラにあった名前は「ブレイク・ランアウト」だと思うんですよね。
あとはアントニオバロウズですかね。「皐月賞以外は抜群の安定感」という点ではスマイルジャックに似ています。


そんな感じで、パドック次第では有りますけどリーチザクラウン中心で。
「あのブ(ryに先着した2頭だけの馬の内の1頭!!」とか「2.1秒も千切って勝った未勝利戦が凄い!!」とか個人的には一切興味無い理由で人気するのは不本意ですけど、まあしょうがない。
皐月賞はもう一切言い訳できないレベルの乗りヘグリですからね(まあ臨戦過程とか色々問題もありましたけど)。あれだけ立ち上がって一生懸命引っ張って、道中ずっと他の馬の外にかぶせる形でスタミナをロスしまくる騎乗をしておきながら、レース後「この馬単騎逃げしないとだめだね」と発言したと言う事は、あのプライドが高過ぎて迷惑な武豊が自分の失敗を認めたとも取れますからね。っていうか完全に認めてますよねこれ。間を置いて冷静に振り返ってじゃなくレース直後の発言ですから。


と言う訳で、自分の記憶にある限りでは恐らく今世紀初めて位の勢いで、天敵:武豊にG1で本命を打つ事になりそうです。