弥生賞。よりもデータ戦術

もう3月ですよ。
ところで、「年を取ると一年が過ぎるのが早い・・・って、2歳児にとっての1年は人生の半分だけど、20歳の人間にとっての1年は人生の5%なんだから、年を取るほど『1年』の濃度が薄いのは当たり前でしょ」と言ったら不思議そうな顔をされました。そんなに変な考え方ですかね?偉い学者先生とかが「年を取るほどに1年が早く感じる現象」について難しい理屈こねくり回しているのを見かけるんですけど、私の方がシンプルに正解だと思うんですが。



さて今週末は更新できないので(&つまらなそうだから高確率で馬券は買わないので)、枠順発表前に今週の重賞の予想をしておきます。とりあえず弥生賞=◎2枠の馬、チューリップ賞=◎8枠の馬で(笑)。


弥生賞って、毎年買うだけ無駄なレースになるんですよね。どちらかというと、ドスローで皐月賞に直結しないぬるいレースになって、ここを勝った馬が本番で美味しく飛んで欲しいなあと期待するくらいで。
今年は、ヴィクトワールピサから逃げたんだか何だか知りませんけど13頭立てになっちゃいました。個人的にはこの馬こそ「今年の、本番で美味しくぶっ飛ぶ馬候補筆頭」なので是非ここは勝って頂きたい。というのも、過去20年で弥生賞を勝って皐月賞も連勝した馬というのはディープインパクトアグネスタキオンしかいないんですよね。
ちなみにさっき改めて調べていて知ったんですけど、ヴィクトワールピサって上がり最速を出した事が過去1回しかないんですね。未勝利戦のみ。この時のメンバーは、7戦目でようやく勝ちあがったファイブイーグル以外は全ていまだ未勝利な低レベルメンバー。この程度なら中山マイルで33秒台の脚で勝ったダイワファルコンに勝てないような気もしますが。上がりのかかるレースになれば余計にファルコン有利なはずですし。
ダイワファルコンは血統的に人気を宿命付けられた馬なので、実績でまともに評価してくれれば6番手なこのレースが、馬券的に一番美味しいかも知れません。出走してくればセイルラージが面白いと思っていたんですけどね。


チューリップ賞
こちらも阪神改造以降は買うだけ無駄なレースになっちゃいましたけど、傾向を観るとサンデー系よりも母父サンデーの方が目立つ事と、クロフネ産駒が目に付きますね。クロフネが来ると言う事はピュッと切れる脚は求められない、エンジンのかかりの遅い馬で良いという事ですよ。じゃあ素直にベストクルーズ・・・とも思いますけど、クロフネ産駒って間隔空くと良くないんですよね。あと、昨年の阪神JF上位3頭は器用さが目だったので、オウケンサクラの方を上位に観ようと思います。


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さて、今週は予想に力が入らないので、ちょっと違う話を書こうと思います。それはデータの話。
先日とあるサイトを観ていたら
「データをどういう風に分析するか?という御質問を受けましたが、私はデータ数が1000以上あるものしかデータとして信用しません。」
と管理人の方が書いておられたんですよ。具体的に言うと「過去全ての京都芝1800mのデータ」はデータとしての価値を認めるけど、「過去10年のきさらぎ賞のデータ」のような例の少ないデータは認めないと。


一見正しく思われる方もおられるでしょうけど、どこかに違和感を感じると思うんですよね。
まず、彼のような思考を「頻度主義」といいます。データが多いほどブレが少なく信用度が増す、と言う発想ですね。信用度と言うより「汎用性が高まる」と言う方が近いのだと思います。
でもこれ、おかしいんですよ。まず、いくらデータを集めようが、完全に穴を無くす事はできません。そして、データを集めれば集めるほど、単純に言うと個性のないどうでもいいデータになっていきます。短所も無いけど長所も無いというか。現に彼は「私の信用しているデータを元にする予想では、回収率が80%もあります」等と書いているんですけど、そんな苦労して回収率が80%なら最初から単勝一番人気を永遠に買い続ければいいんですよ。絶対回収率80%に収束するから。それ以前に馬券買うのやめた方が良い。「過去のデータ」の精度を上げれば上げるほど「100%−控除率=75〜80%の回収率」に近づくのは当たり前の話なんで。


そこで「ベイズ理論」と言うものが出てくるわけです。その管理人さんは「趣味=投資」と嘯いてかなり儲けているような印象を与えようと頑張っている匂いがするので、それが本当ならベイズ理論くらい知らないわけないんだけどなあ。


さて「ベイズ理論」とは何か。
まともに解説すると大変なんですけど、純粋に学術的な意味から離れる事承知で実生活に役立つレベルで大雑把に言うと「データが無くても、とりあえず推定してしまう。」という事なんですね。実生活レベルでは、例えばFAXの画像修正等に使われています。これをベイズ推定と言う。


(A)某管理人さんのような「膨大な量のデータに基づく推定」と(B)「ベイズ推定」の何処が違うか。これを競馬予想の観点から観てみましょう。
まず、競馬のレースの結果なんて当然終わってみなければ分かりません。従ってどちらの理論に基づく推定も完璧な訳が無く必ず穴(不確実性)があります。
違いが何処にあるかというと、Aは穴が小さい。しかしその穴がどういう穴なのか、扱う側には判断できない。
一方Bは、データが少ない(全くない場合もある)ので穴は当然大きい。しかし、穴が大きい事上等で、どういう穴が有るのか知った上で扱っている。



具体的に、私が買ったここ3週間のメイン競争を見てみましょう。
まずきさらぎ賞。本命予定の馬が休み明けプラス24キロで出てきちゃったので止むを得ず無視して、「この2週間の京都芝外回りのレースはサンデー×トニービンと言う配合の馬が強い。とりわけアグネスタキオン×トニービンは出走してくれば全勝。」という実に少ないデータを元にネオヴァンドーム単勝を当てました。これは、私がずっと前から書いているようにサンデー×トニービンと言う配合の特徴は良く知っていて、それが本来は得意とは言えない京都芝外回りでバンバン来ると言う事は相当に向いている、つまり「データの不確実性は大きいけど、その不確実性の特徴を自分は手の内に入れている」から買えた馬券です。
次に京都記念
これは4頭しか馬券対象にしなかったレースで、現役最強2トップと言えるブエナビスタドリームジャーニーニホンピロレガーロジャガーメイルを「馬券に絡む確率は五分」と無謀にも程がある「推定」をした馬券ですね。結果的にジャガーメイルドリームジャーニーに先着して、圧倒的人気サイドで決まったにしては割と良い配当でしたけど、これもトニービン×サンデーと言う配合である事と同時に「ジャングルポケット産駒の、外枠発想で他馬にマークされずに自分のペースで走れた時の強さ」を知っていたから取れた馬券です。この、ジャングルポケット産駒の特長は初年度産駒の古馬一年目での両北海道重賞制覇を春の時点で予言していたように私の数少ない得意技ですので、「データの穴は大きいけど、その不確実性は手の内に入れている」という自信があるから買えた馬券です。
続いて先週の中山記念
これは、事前予想で書いたように「中山記念は先行有利といわれているが、フルゲートの年は差しが決まっている」と言うデータを元に推定した訳ですけど、基になっているデータってたったの2レースしかないんですよ(笑)。某管理人さんが見たら失神しそうな「稀度主義」という言葉を勝手に作りたいくらい、サガミオリジナルもびっくりの薄過ぎるでーたですけど、タイトなコースで「先行有利=常に前の馬が激しくやり合う状態」になれば前に厳しくなるのは当然で、頭数が増えるほど厳しくなるのは理にかなっていますよね。そうして、前傾ラップで上がりのかかるレースで結果を出してきた馬を5頭チョイスしたら血統的にも合っていたのでボックスで買ったら、あっさり万馬券が取れましたよと。これも不確実性を手の内に入れている例ですね。


競馬予想というのは、きさらぎ賞のように(笑)当日の馬場状態や騎手の状況、馬体重発表、パドック、返し馬・・・と刻々と状況が変化していく訳ですよ。だから「小さいけど正体不明な不確実性」よりも「大きいけど正体を良く知っている不確実性」の方がはるかに頼りになる訳です。私のような予想スタイルだと「適性ばっかり偉そうに語って、馬の強さを見る能力がない無能の極みのような予想」と良く言われるわけですけど、「馬の強さ」なんていう正体不明な不確実性よりも「馬(レース)の適性」という、隙だらけでも不確実性の正体を掴んでいる推定の方が、自分にとっては頼りになる訳です。最強ブエナビスタと、ハンデ重賞2着が精一杯のニホンピロレガーロを同格に扱うのは頭おかしい事は百も承知ですよ(笑)。分かっていてわざとやるから面白いんです。ちなみにベイズ理論はPCのソフトにも活用されていて、理論自体に学習機能があるんですね。頻度主義の膨大なデータに、一つ失敗したレースのデータを加えたところで修正はされませんけど、例えば先週の中山記念の馬券を私が外していたとしても「フルゲートの中山記念」というでーたが2レースから3レースに、つまりデータ数が一挙に150%大幅補強される訳ですよ。常に反省し進化し動き続けるのがこの理論です。


まあ読んでお気づきのように私の予想事態にベイズ推定を直接利用しているわけではありません。生活の上で、ベイズ推定的思考は役立つよ、という事をいいたかったのでした。