マダオ2部作

最近何故かドラッカーが流行ってやがるな・・・と思ったら、何だかAKBなんちゃらをモデルにしたドラッカー本が売れてるらしいっすね。ドラッカーって「ビジネスで大事なのは誠実さ」とか詐欺師丸出しの事を言ってるやつですよね確か。詐欺師丸出し商法で資金繰りに困って犯罪に走るヲタを大量発生させているAKBなんちゃらがドラッカー・・・。(笑)。


さて。最近話題になったマダオ(まるでダメな男)をフィーチャーした映画を立て続けに観ました。
まずはミッキー・ローク主演の「レスラー」

かつての人気レスラーが、落ちぶれてフリーター生活をしながらそれでもリングを忘れられず・・・という話ですけど、ベタながらやはりミッキー・ロークが落ちぶれて腹の突き出たどうしようもないオヤジを演じている事がポイントですよね。個人的にはスーパーの総菜屋で働く事になる主人公の、「俺、昔はスポットライトを浴びていたスーパースターだったんだから、裏方仕事ならまだしも人前に落ちぶれた姿をさらす仕事なんてやってられないよ!・・・何て言えないしな・・」という葛藤が良く出た演技が一番印象に残りました。
実際バイトしながら夢を追い続けているスポーツ選手(音楽もそうですけど)なんで物凄くいっぱいいますからね。世間にその名が知られているレベルの人でも当たり前にバイトしてたりしますから。以前、野球関連のサイトで独立リーグや育成枠の事に付いて議論になった事があるんですけど、「野球」の環境しか知らない人は、独立リーグや育成枠の環境の選手の事をとんでもない劣悪な環境に追い込まれた凶悪犯罪の被害者のように思ってるんですよね。色んな世界の事を知っていれば「あれでもむしろまだマシな方」という事くらいわかりそうな物ですけど。ていうか日本相撲協会の恵まれ方ったらないですよね。本当に財団法人格を剥奪して、国技館での開催を「反社会勢力との親密な交流がある団体にはお貸しできません」と断わられてパチンコ屋の駐車場で本場所開催するくらいまで落ちて初めて「針の筵に座る覚悟」ですよ。永遠に恵まれまくった人生を送っているであろう元NHKアナウンサーの杉山とか言う老害には永久に理解できないでしょうけど、それが世間の標準だから。
話がずれた。
もう一つ心に残ったのは、CZWが出ていた所ですね。ネクロ・ブッチャーを映画で観る事になるとは!!CZWは本当にホッチキスを相手に突き刺すようなプロレスをやっている団体ですけど、そういう「身近な凶器」を大量に持ち込んで来日して、空港でその目的を聞かれた時に元気良く「MURDER!!」と答えちゃって空港に一晩泊まるハメになって、試合をキャンセルしちゃったんですよね。何故そこで無駄にプロレスラーとしての心意気を見せてしまうのか(笑)。


もう一つはANVIL。

「空耳でも使われたし、名前くらいは知ってるなあ」という程度の認識だったANVILですけど、これは良かったです!ず〜っと長い間仕事をしながらバンドを続けてきて、二人になっちゃったオリジナルメンバーで新譜のレコーディングをして、子供の様にストレスをそのまま吐き出してしまって分裂の危機を迎えるような喧嘩をしてしまう二人。そこで「俺たちには癒しが必要なんだ」と言うようなセリフが出てくるんですけど、その後新譜を聴いた日本のプロモーターから大きなロックフェスへの参加のオファーが来て、来日して二人でお寺をお参りし、「癒された」二人が境内で穏やかな、されど誇らしげな表情で静かに抱き合うシーンが最高です。
そこからさらにライブシーン。フェスのオープニングアクトで午前中の出番とあって「客が全然いなかったらどうしよう・・・」と心配するメンバー。だがしかしステージに上がってみると客席は20000人の大観衆で埋め尽くされ、大歓声で迎えられるANVIL。「時代遅れ」の音楽を嬉しそうに演奏するメンバーと「時代遅れ」の音楽に大歓声で応える日本のファン。最高に美しい。
断言しますけどこのシーンを観て美しいと思わない人間は、ある意味幸せですよね。
ちなみに上記のシーン、この映画を猛プッシュしているザ・グレート・サスケとANVILの対談によると、ステージに上がる前に客席を観て帰ってきたマネージャーが「客席は最悪の状態だよ・・・」みたいな嘘をついたから、本当にメンバーは客が5人ぐらいしかいない事を覚悟していたそうです。それを考えると、はしゃぐでもなく泣くでもなく、穏やかな表情でごりごりのメタルを演奏するメンバーの姿にまた違った感動を覚えますね。日本に来てお寺参りやお祭りに参加する事で、30年間報われない努力を続けてきた人達が心の平穏を得る事ができたのなら日本人として誇りに思いたいです。
ヨーロッパまでわざわざ行ってギグをやるも、ギャラの支払いを拒否するライブハウス側とマジ喧嘩するシーンも挟み込まれますけど(しかしこれ良くカメラ回せたよなあ)、こういう部分も、僕なんかから見ればよくある話なんですけど「野球」や「相撲」しかしらない公務員的な人からしたら恐らく信じられない出来事・・・おっと!!「野球」や「相撲」の人達は債権回収のプロのお方ととっても仲良しなんでしたっけ(笑)

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レスラーには「ガンズやモトリーのような派手なロックが流行った時代は最高だった。ニルヴァーナが台無しにした。」という名言が出てきますけど、このセリフで分かるように、この二つの作品は「双子のマダオとでも呼ぶべき作品なんですよね。上記のセリフは「まるで、楽しい事がダメかの様に。」と続くんですよ。確かに90年代になって「無邪気に楽しんでいるやつはダメ」という気風はできてきましたよね。個人的にはニルヴァーナが台無しにしたと言うより、ビジネス=詐欺になってしまって隙を見せたらやられる世の中=人を信じてはいけない世の中(さらに言うと、ドラッカーの価値観が真に偽善になった世の中)カート・コバーンが鋭く切り取って表現したから世界中が感応して爆発したんだと思いますけど、鶏と卵の論議をやる気はないんです。
要するに「男はかわいい」という事です。
ダメな人間がいない世の中はダメになる。とっても正しくていらっしゃる女様が社会進出なさって、この世界のどこかが何か良くなったかい?
ニルヴァーナって物凄く女っぽいという印象は前からあったんですよ。
ライブで女装しているとかラストアルバムのタイトルが「子宮の中(in utero)」だったりもあるかもしれないですけど、この「正しい事を言ってしまう台無し感」こそ女だよなあと思う。このブログではずっと言ってる事ですけど、男より女の方が圧倒的に強いんですよ。強者が弱者を圧倒的に食い散らかして単体に帰るというある意味人類補完計画的怖さを感じるんですよね。今の異常ジェンダー社会って。
女に嫌われようと何されようとかまやしないけど、俺はダメ人間の可愛さを愛して生きていきたいな。