血統(3)

前回まで血統の大まかなくくりを解説しました。今日はその続きです。
http://d.hatena.ne.jp/c-mad/20100804
http://d.hatena.ne.jp/c-mad/20100805
そういえば前回の時に「昔のハードロックバンドが続々復活している」的な事を書きましたけど、ヴァン・ヘイレンもデイヴヴォーカルで復活するみたいですね。


さて、血統の分類は分かったと。じゃあ具体的に予想する時にどうするのかという話ですけど、まず手始めにやる事は
「どのコースはどの血統の馬に適性があるのか」
を覚える事ですね。覚えると言っても暗記する必要はありません。コース毎に好走血統ランキングみたいなのが載っている本やwebページ等を探すのが良いでしょう。
また、最近は馬場の変化が極端なので、その開催でよく来ている血統をチェックするのも有効でしょう。これも「血統」などのkeywordで検索すればすぐに見つかると思います。


ここで重要なのは「血統は、強さを測る物差しではなく、適性を計る物差し」という事を忘れない事です。血統にどっぷり漬かってくると「この配合はスピード要素が足りないな」とか「この配合は底力に欠けるから、自己条件を圧勝して人気しているけど、重賞初挑戦のここで跳ね返されるだろう。」みたいな判断はできるんですけど、当座はそこまで考えないでいいです。
つまり、「強いから」という理由で勝った馬の血統は、そのコースに適性が合ったとはいえないし、逆に適性は全く合わない血統なのに善戦した馬が居たら、その馬は相当強い馬だと判断ができるという事です。
また、稀に種牡馬(父or父母父)より母父の方が強い影響力を示している馬も居ます。ノーザンテーストなんかは母父の方が影響力を示します。ダイワメジャーダイワスカーレット兄妹の最後まで尽きない成長力なんかはもろに母系の影響です。余談ですが、母父の事をブルードメアサイアーといいます。


さらに、「何故そのコースに適性があるのか」という事まで推理できるようになっていくと、競馬がどんどん面白くなってきます。
例えばマンハッタンカフェ産駒。
マンハッタンカフェの産駒は京都新聞杯というレースを三連覇しています。
単純にこれを観て「京都新聞杯ではマンハッタンカフェ産駒を買おう」でも良いんですが、これだけあからさまなデータが出ていると過剰人気してしまいますし、複数の産駒が出走している時にその取捨をどうしたらよいのかわからず美味しくありません。そもそも後追いでデータに乗るとろくな事がありません。
じゃあどうするか。


A)マンハッタンカフェサンデーサイレンス×リボー
B)京都新聞杯皐月賞とダービーの間に行われる3歳重賞。京都芝2200m外回り。同じく京都外回りで距離の長い3歳重賞である菊花賞とリンクする。ノーザンダンサーの先行馬が人気で飛ぶ。


というそれぞれの特徴を眺めてみます。
まずAとBの共通項。京都新聞杯は「ダービーに出したいけど賞金的に厳しい」という馬に対するダービー行き最終切符という面があります。つまり格上挑戦になっている事が多い。一方リボーというのはまさに格上挑戦で魔性の力を発揮する血。一方京都外回りで強い瞬発力と、ノーザンダンサーの先行馬とは真逆の適性という部分からサンデーサイレンスの影響も強いという事が判断できます。つまりマンハッタンカフェは血統通りサンデーサイレンスとリボーの良さを両方持ち合わせた上級の種牡馬と判断できる。
一方マンハッタンカフェ産駒は菊花賞では良い成績を残せてはいません。ここから「マンハッタンカフェ産駒は3000を越える距離は走れない」と観てもよいですが、「3歳春まではサンデーサイレンスそのもののような強さを発揮するが、それ以降は並みの馬」と観てもよい気がします。近5年の京都新聞杯上位馬のその後の悲惨な成績を見るにつけ、「このレース自体、その時点での完成度やスタミナのみで決まっちゃうレース」と判断できる気がします。また、血統的には適性が無いのに好走したコスモファントム菊花賞で面白い存在かもしれません。


このように、気になる種牡馬は特徴を書き出してみて、自分なりにその適性を推測してみる事が血統の知識になっていくと思います。