菊花賞

前置き無しで予想・・・というか今回の出走メンバーに関する部分を多聞に含んだ血統話から行きたいと思います。今日はデータとか血統の薀蓄が盛り沢山です。


まずレーヴドリアンの血統の話。妹も先週のデイリー杯を勝って5頭の子供が全てOP入りというとんでもない事になっている(多分これギネスブック級の新記録じゃないですかね?)レーヴドスカーの子供ですが、揃いも揃ってデビューから3歳春辺りまで期待感たっぷりなのにその後萎むんですよね。
で、同じく早枯れの疑いを持たれているアドマイヤサンデー産駒(フサイチホウオートールポピー兄妹)ですけど、実はこの二人の母親、同じ牝系です。アドマイヤサンデーの6代母とレーヴドスカーの7代母が同じ。3年前は阪神JFトールポピーが優勝レーヴダムールが2着でしたが、奇しくも今年も揃って牝馬を出して、今のところレーヴディソールが重賞勝ち、アヴェンチュラが重賞2着。今年はこの血のドラマ、どんな顛末になるのでしょうか。


このドスカー一族はやたらに葦毛が多いのですが、芦毛の馬はホモ遺伝子という特殊な遺伝子が影響するので、大抵ザテトラークThe Tetrarch) という馬の血が影響しています。メジロマックイーンはこのザテトラークの直系の馬です。
ザテトラークの血を引く馬の中で一番影響力が高いのはナスルーラの母:ムムタズマハル(Mumtaz Mahal)でしょう。ナスルーラ系も割りと葦毛が多いですからね。ヒシミラクルナスルーラ4本入ってますし。
ドスカー一族では唯一の芦毛じゃない馬がレーヴダムール。ムムタズマハルの影響力の強さと、それを上回るファルブラヴの影響力の強さに驚くわけですが、レーヴダムールがもし壊れなかったら一族で一番活躍したのかなあ・・・とか、ナスルーラ系で日本で成功したトップ2のトニービンサクラバクシンオーからはめったに葦毛が出ないことも興味深いなあとか、血統の事を考えていると秋の夜長もいつまでも終わらないわけですよ。


さてそろそろ菊花賞の予想に行きましょうか。


アロマカフェ
思ったより人気して無いですねえ。ありがたい事です。
マンハッタンカフェ産駒は菊花賞で来れない」という観方をしている方が多いみたいなのですが、
マンハッタンスカイ13番人気15着
メイショウクオリア京都新聞杯優勝)12番人気12着
アントニオバローズシンザン記念優勝)10番人気18着
ヤマニンウイスカー11番人気6着
イコピコ2番人気4着
という過去の菊花賞の産駒成績を見ると、「そろそろ来るんじゃないの?」という気もするんですよね。わざわざ3歳時の重賞制覇経歴を載せたのは、マンハッタンカフェ産駒は3歳春までに活躍する(そしてその後消える)馬と真逆の2つにくっきり分かれるように思われるので。


次に血統の話。
昨年もセイウンワンダーが距離適性を疑問視される中激走しましたが、今年「牝系が過去に長距離戦で好走」な馬は


ルクアーネスト・・・4代母サニースワップスの産駒:サクラサニーオー菊花賞ミホシンザンの0.2秒差3着。
アロマカフェ・・・3代母マリンエクスプレスが、菊花賞マンハッタンカフェの0.1秒差2着だったマイネルデスポットの祖母。ちなみに牝馬なのに菊花賞を10馬身ぶっちぎって勝ったクリフジの牝系でもあります。


の2頭。後はまあローズキングダムローズプレステージ菊花賞3着)もありますが。
上記2頭のどちらを優先したいかというとやっぱりアロマカフェなんですよねえ。マンハッタンカフェ自身は菊花賞制覇でその名を天下に轟かせたのに、産駒が全く勝てない→自身が2着に下したマイネルデスポットの末裔の力を借りて初の産駒制覇。 というドラマが味わいあると思うんですよねえ。


さらに菊花賞と言うレースの適性。
このレースは、というより京都外回りの中長距離線は「ラスト4ハロンの持続力勝負」になるんですけよ。4コーナーに坂があるんだから当たり前ですけど。以下過去10年の菊花賞のラストの形。
09:47.5(12.9-11.7-11.4-12.2-12.2)
08:47.3(12.9-12.0-11.5-12.1-11.7)
07:48.2(12.6-12.0-11.6-11.9-12.7)
06:47.5(13.0-11.9-11.2-12.5-11.9)
05:47.8(12.2-12.1-12.0-12.1-11.6)
04:48.1(13.5-12.3-11.8-11.7-12.3)
03:47.6(12.9-11.8-11.5-12.0-12.3)
02:48.0(13.2-12.6-11.6-11.7-12.1)
01:47.3(12.7-12.0-11.4-11.7-12.2)
00:48.0(12.4-11.9-11.9-12.1-12.1)
左から年度、ラスト4ハロンの数字、ラスト5ハロンのラップですけど、阪神改修絡みで馬場をかなりいじったと思われる05年以外はほぼ一定して「ラスト4ハロン目で急加速してそのまま脚を持続し続ける」能力が求められる事は容易に判断できます。

今年の出走メンバーでこれに似た形で好走歴があるのは
アロマカフェラジオNIKKEI賞:46.9(12.3-11.5-11.6-11.7-12.1)
シルクオールディー@阿寒湖特別:47.7(12.6-11.7-11.9-11.9-12.2)
レーヴドリアン福寿草特別:47.6(13.1-12.4-12.1-11.5-11.6)
ラジオNIKKEI賞2着のクォークスターですけど、違う型のレースの方が好走するし、セントライト記念アロマカフェを逆転したのだから適性は逆になると判断します。昨年も「小回り1800m好走馬を狙いたい」と書きましたが、ここからもアロマカフェを強調できます。


というわけで
アロマカフェ
○シルクオールディー
はすんなり決まりました。レーヴドリアンは一応△扱いしますけど、上記の通り明らかな早枯れ血統なので1月の成績を参考にして良い物なのか疑問はあります。
▲トウカイメロディ
母母父リアルシャダイですからねえ。もし惨敗する事があればそれは斤量が原因だと思います。
ビートブラック
サンデー系×ロベルト系が続けて来ているので買いたいのと、ミスキャストの産駒ってほとんど知らないんですけどミスキャスト自体はOPで勝ったのは2200m時代のプリンシパルS(2着は天皇賞春で後に2着するビッグゴールド)のみ。重賞好走歴があるのはスタミナ戦になる福島記念2着と、8ヶ月ぶりでいきなり古馬との初対戦となったAJCCでの0.2秒差4着。ここから判断するに「本来はスタミナを活かしたいのに母ノースフライトの幻影を追ってマイルに拘るが故に出世できなかった」名前通りのミスキャスト馬とも思えるんですよね。ナリタプレリュード(福島記念2着)とかコメディアデラルテ京都新聞杯2着)とか近親を見ると、菊花賞に繋がりそうな血統背景の種牡馬だと思うんだよなあ。
△シルクアーネスト
セイウンワンダーと同じ「菊花賞好走牝系にグラスワンダー×サンデー」ですね。