日本の格闘技崩壊。

kamiproの増刊を読んで改めて気づいたんですけど、今年の年末の格闘技を観て自分が割りと面白いと感じたのは、このジャンルに対する愛情がなくなったからだと痛感しましたね。まあ確かに青木が潰れようが自演乙が潰れようが知った事ではないもんなあ。
高坂剛の解説と自演乙のインタビューを読んで良く判ったんですけど、あの試合自演乙選手は総合の練習を一切出来なかったから、1Rにタックルされても全く対応しなかったんですよね。それで、簡単にタックル入れるなと判断した青木真也が不用意に両足タックルに行った所にカウンターで右膝がジャストミートしたと。


あの試合は色んな事を感じたんですけど、ふと思い出したのはPRIDE13かなんかで桜庭が初めてシウバに負けた時の事です。
あの大会って「サクラ散る」ってサブタイトルをつけて、パンフレットに「桜庭が勝ち続けるところを観たいですか?それとも負けるところを観たいですか?」とか書いて、打撃系の選手に圧倒的に有利な4点ポジションでの頭部への膝蹴りを解禁して、もうとにかく何が何でも桜庭を破壊する事に必死だったイベントなんですよね。
その事自体にも怒りと言うか虚無感を感じるんですけど、スターとして売り出すべき桜庭和志を守ろうという人が一切いなかった事が大問題だったのではないでしょうか。何かこの国のエンターテインメント(に限らないけど)は異常に守り過ぎか異常にノーガードでぶっ壊し過ぎかどちらかしかないですよね。
青木真也にしても、本来はちゃんと管理する人が付いて、本人に対しても「破壊した相手に中指を突き立てて侮辱するとは何事だ!!」と叱ったり、周囲に対しても「こんな、青木も相手も得しないマッチメークなんて受けられるか!」と激怒して守ったりするべきですよね。好き勝手やってるようにみえる長島☆自演乙☆雄一郎選手の方が、ちゃんと大宮司進さんがちゃんと指導をして、「絶対に相手を侮辱するようなコメントはするなよ!」と釘を刺して、自演乙選手もちゃんとそれに従ってるし。


昔は「日本の道場と外国のジムは全く違う!日本の道場は上下関係が厳しく、人間的な指導もしっかりするけど、海外のジムは仲間同士楽しくやってるだけ!」とか言われたものですけど、現状は完全に逆転してますよね。海外の格闘家ってきっちりチームで作戦を立ててボスがしっかり指導してるけど、今の日本の格闘家って、ある程度人気が出るとチームは作るけど仲良し同士集まって身内でチョコチョコやってるだけにしか見えないですからね。
これって自分がMMAを良く観ていた7〜8年前に言われていた事なのに、何も変わってないですよね。


以前から自分は「職人は目で盗めと言うのは、教える技術の無い無能職人の単なる言い訳!自分が今まで仕事した超一流の職人さんは決まって教え魔だった。」という事を散々書いてきたんですけど、明らかに「上の世代」が教育指導を怠ったツケがあらゆるジャンルで噴出しているんだと思いますよ。この状況でもまだ老害世代は「近頃の若者は自分で考えない!何でもすぐ答えを訊こうとする!」とお決まりのセリフで逃げ切れるとでも思ってるんですかね?思ってるんだよなあ。


ちょうど今NHKスペシャルで、何故日本が戦争に踏み込む事になったのかを検証する特集をやってますけど、いったい何十年同じ失敗を繰り返せば気が済むのかと溜息が出ますよ。現状この国で「近頃の〜」何ていう言い方をできる権利がある人間はいませんよ。全員が反省しないと。もちろん上に行けば行くほどその責任は重くなるわけですよ。