TIME

ところで、すっかり印象が薄くなったみずほ銀行のシステム障害の件ですけど、「みずほ銀行が、正規手続きで振り込まれた給与を、振込先に連絡もせずに勝手に取り消して大問題」という事件はちゃんと報道されているんですか?自分が観た限り東京新聞で金曜日に記事になった以外は黙殺されていたっぽいんですけど。大スポンサー様だから黙殺ですかそうですか。本当にこの国の「組織」は芯から腐ってるな。



さて自分はTIME誌を定期購読しているんですが、海外では東日本大震災はどう報道されたんでしょうか。
まずは震災の翌々週号。


最初の見出しで
enough to shift the earth on its axis and make it spin a little faster, shortning the day by 1.8millionths of a second. Itshoved the island nation one parking space to the east.
その衝撃で地軸を揺るがして、地球の自転がちょっと速くなり、一日の時間が1800万分の1秒短くなり、島国(日本)が車1台止められる位の距離だけ東に移動した。


と書かれています。イメージ的には西に動いたような感じもするんですけど、それはともかくインパクトのある見出しですね。
他にも
earthquake-tsunami one-two punchとかshuffled houses like playing cardsとかいう表現も凄いですね。アメリカ人にとっては印象が違うのかもしれないですけど、そんなに軽く言われてもなあという印象もちょっとします。
「海外では日本人の冷静さと秩序を守る節度が賞賛されている」というのは事実ですね。TIMEの記事の内容は大まかに分けて「日本人は冷静」「政府や東電のトップは無能」「原発問題」です。日本のテレビ報道がどんだけ腐ってるか良くわかりますね。震災後に「日本は政治の混乱と産業の低迷に足を引っ張られてはいるが、優秀な民族である事に変わりは無い」と海外で報道されているとされていましたのは事実ですね。


日本人の事はmost stoic on earth地上で最も禁欲的かつ冷静な民族で、the closest thing to chaos was a man cutting in line混乱と呼べそうなものは男性が一人列に割り込もうとした事だけだった。
震災の翌日瓦礫の山から家族と近所の人のための食料を探して回る被災者の「We'll all try our best to do this together, That's Japanese way, isn't it?(我々はやれる限りの事をやる。それが日本人のやり方だろ?)」という言葉や「We,the young generation, will unite and work hard to get over this tragety. It's now our time to rebuild Japan若者世代が一丸となってこの悲劇を乗り越えるために全力を尽くす。今こそ日本を再生する時)」という若者の言葉を紹介しています。
後は
Japan is only country on the planet with an earthquake early-warning system in place.
日本は世界で唯一の適切な地震予報システムを持った国


とも書かれています。津波さえなければ「日本の建築技術は世界一」と改めてアピールできる良い機会になっていたはずなのになあ。


菅内閣や東電の「信用の無さ」に関しては
ChiefCabinetSecretary Yukio Edano starts speaking gobbledybook like"At this point we can say we are moving in the direction of stabilizing the situation in a certain managed manner",you can be pretty sure he's not stabilizing anything
枝野幸男官房長官は難解なお役所言葉で「安定の方向に向かっています」みたいな事を言っているけど、彼が何も安定させる事が出来ていないのは誰の目にも明らか。


emergency workers were able to extinguish the blaze but the alarm promoted PrimeMinister Naoto Kan to take to the airwaves and appeal for calm while admitting there was"a further risk of more radioactive material coming out"
緊急事態に対応していた作業員は原発の火事を消す事が出来たはずだった。しかし、菅直人首相がテレビで冷静な行動をアピールするために原発に立ち入る事を許した事は放射性物質の流出の危険性を大きく広げた。


と書かれています。要するに、落ち着きを取り戻して段々日本でも報道され始めたような政府のダメダメっぷりは、アメリカではまずイの一番に取り上げられていたと言う事ですね。しっかし、全ての点において賛同できない民主党に唯一辛うじてわずかに期待できた事は「情報開示」だったのに、蓋を開けてみれば戦時中もびっくりの隠蔽っぷり。「凄い」の一言ですね。余談ですが菅に対してはleft day-by-dayという表現もあるんですが、この場合のleftの日本語訳は「発狂」で良いと思います。


The nuclear-power-plant disaster reminds me of WW2, when we didn't get enough information about what was really going on, The goverment only gave the information it wanted to, and people needed more details
原発事故に対する政府の対応は、正しい情報を国民に隠し続けた太平洋戦争を思い起こさせる。政府は「自分が出したい情報」しか出さないが国民は正しい情報を必要としている。という戦争を体験した男性の言葉も載っています。


後は海外で最も心配されているであろう原発の記事ですね。
Fukushimais no Chernobyl〜at least not yet.Chernobylhad no containment vessels.What's more,the Chernobyl plant was also used to process plutonium for weapons.
福島原発チェルノブイリにはならない(少なくとも今のところは)。チェルノブイリには格納庫が無かったし、さらに言うとチェルノブイリ核兵器も作っていた工場なので(福島とは全く事情が違う)。


と、一応現状(震災翌週の時点)では安心である事が書かれています。ただ
cost estimates have tripled toward $10billion
原発建設の)予算は当初見積もりの3倍で100億ドル近い


cost increasing as much as 1000% even before the ThreeMileIsland meltdown
スリーマイル島メルトダウン以前ですらコストは10倍以上になっていた


と、原発はやたらコストがかかるものである事が紹介されています。
Wall Street hates nukes as much as K Street loves them
Kストリート(シンクタンクとかが一杯有る街)が原発を愛する以上にウォールストリートは原発が大嫌い


という表現もしていますね。テレビ等で「原発はコストが安い!」とコメントする自称プロ専門家を多く見かけますけど、あれ嘘です。原発反対派は安全性より金食い虫である事を問題視しているんだなあ。


翌週発売号にも震災の特集記事があります。


こちらにも
at a time when the country is craving leadership, Kan has not provided it.
日本がリーダーシップを求めているこの時、菅直人はそれを発揮できなかった。


exemplified by Tokyo Power Electric Co., the operater of damaged Daiichi nuclear plant, whose executives are beneficaries of AMAKUDARI.
東京電力の、震災で壊れた福島第一原発を指揮する担当役員が天下りである事は悪い見本だ


等日本の組織の腐敗ぶりにを表現しています。しかし今号の主題は
Can its young people save Japan?After the earthquake and tsunami, they're roling up their sleeves〜and shaming an ossified Establishment
日本の若者は日本を救えるか?震災後、日本の若者達は腕まくりをして復興に意欲を見せている〜そして、硬直した支配者層に恥をかかせている。


というタイトルでfreetersとかhikikomoriとか言われて「甘やかされて育ったダメ人間」という扱いをされている日本の若者のレポートですね。
many old Japanese〜like 78-year-old Tokyo Governor Shintarou Ishihara, who initially called the earthquake"divine retribution" for the country's consumerist excesses〜fulminate against the material addictions of young.
78歳の都知事石原慎太郎〜この震災を、過剰な消費傾向に対する天罰と評した男〜の様に、多くの日本の年寄りは、日本の若者は物欲的過ぎると激しく非難している。


But there's not much sign of that where you would most expect to see it.
しかし、あなた方が期待するような兆候には、あまりお目にかかれない。


the emergency center has reached its maximum of 500 volunteers, most of whom are young.
避難所には、これ以上は受け入れられないくらいの500人のボランティアが集まっている。ほとんどが若者だ。


Yet even if the new mood of sleeves-rolled-up volunteerism persists among young Japanese, they may still need leadership.if there's one person who leads the way, they will follow and work hard.
日本の若者が意欲的に献身的に活動しようという機運が高まっても、彼らには『リーダーシップ』が必要だ。一人でも引っ張ってくれる人がいれば、彼らは労を惜しまず働くだろう。


必死に「若者の〜離れ」をアピールする老害の方々には残念なお知らせですけど、客観的に観て日本は「やる気があって真面目な若者達の脚を無能でリーダーシップの無い年寄りが必死に引っ張っている」という事のようです。


どうでもいいけど、4選を果たした都知事が「我欲を捨てろ」とか言ってますけど、現状の「若者の嫌消費」をちゃんと理解しているんですかね?そもそも主張が市民に対して「我欲を捨てろ」と命令するという事は「市民の欲望は全て主張がコントロールする」というヒトラーもびっくりの発狂発言なんですけど。「我欲を捨てて東京でオリンピックを!!」とか叫びだしたら面白いな。