日本人

先日のエントリーで「何故に日本人はモチモチ、シットリ食感を好むのか?」と言う話をしたんですけど、
http://d.hatena.ne.jp/c-mad/20071211/p2
さらに考察を重ねると、上記のような理由から日本人は「良く噛んで食べる」事を余儀なくされ、必然的に顎が発達して顔の骨格が安定した事が日本人の特徴である思慮深さや冷静さ、粘り強さなどに結びついていると思うんですよ。

と言う訳で、パンのサイトをやっていると「ふんわり」とか「口溶けの良い」というファクターを強化する方法を良く聞かれるんですけど、個人的にはシットリとかモチモチを強化したパンを作る事が日本らしさだと思うんですよ。
もうぶっちゃけ日本人の方が技術も知識も上なわけで、わざわざレベル低い方に合わせてあげる必要も無いし、前にも書いた通り冷凍生地の研究の方が遥かに進んでいる上にパンの場合ほとんどが冷凍のほうが質の高い製品作れちゃうわけで、スクラッチで良さを引き出すなら食パン、それもシットリ感とかモチモチ感を生かしたパンを作る技術を持っておいた方が意義があると思うからなんですよ。冷凍生地に関しては発酵を抑えて熟成を重ねるわけなので、一般的にイメージするような「冷凍食品みたいなもんだから、フレッシュな物に敵わないだろ」と思われがちですけど、率直に言ってそれは間違い。
今まで冷凍生地では苦手ジャンルだったフランスパンとかカンパーニュとかのジャンルも標準的な職人が作るレベルをもうすでに凌駕してると思うんですよ。
そうなると、スクラッチの技術を生かすのは食パンだと思うんですよね。少なくとも僕なら「食パン専門店」を作る。 さすがに食パンくらい生地が伸びなきゃいけないジャンルは冷凍生地もまだ苦手のようなので。
これにはちゃんと意味があるんですよ。
まあその話もいずれしようと思うんですけど、日本人なら日本の特色を生かしたパンを付くる方が良いし、それで十分世界のトップレベルの技術なんだから。
まあそんな意味も含めて「うどんを入れたうどんパン」っていうのもレシピ作ったんですけど、ゆするにデンプンを強化したパンは美味いということなんですよ。
先日ラジオで広橋涼が「うどんタコヤキ」という物(タコヤキの中にうどんが入っているもの)を食べて美味しいと喜んでいましたけど、これも近いですよね。デンプン添加でモッチリ感を強化したタコヤキ。僕の中ではアリです。「お好み焼きには餅を入れたい」って話も出ていたけど、こっちの方がイメージ付きやすい例えだったかな。
ちなみに何故にうどんパンなのかというと、要するに「家庭で(手捏ねで)できる湯種製法は無いか」と考えた結果なんですよ。だから別にうどんである必要は無いんですけど、私のレシピはそのまままるパクリしての何の意味も無いレシピなので、要するに考えるヒントなんですね。こういう頭を使う遊びをしたいという話なのであって。
ちなみにメロンパンというのは日本人にだけ特殊に受けるパンなんですけど、これも以前書いたように「クッキー生地で生地をくるんで焼く事によってしっとり感を長く持続するように工夫したパン」という事が最初の発想元だと思うんですよね。調べた事無いから知らないですけど、その方がしっくり来る。
「日本人らしさを出したパン」っていうと「和食材を使った・・・」とか「和食の調理方法を使った・・・」とか「繊細な味付けで・・・」とか「食器に備前焼の高級皿を使って・・・」とか生ゴミみたいな発想ばかりを求められちゃうんですけどね。
そういうことじゃねえんだよ。
僕の食パンのレシピのところで「ゴボウサラダなどのフィリングを使った惣菜パンにはマッチすると思います」って書いてるんですけど、これは最初から和食材に合うパンを狙ったわけじゃなく全然別の目的でデンプン添加でモチモチ感を強化した生地を研究する必要性があった時に持っていたレシピを使ったら必然的に和食材に合ったパンになった、という事なんですよ。
ちなみにこのパンを一緒に働いていたパティシエに食べさせて「どういう食材に合うと思う?」と聞いたらしばらく考えて「う〜ん・・・。かまぼこ」と答えたのには驚きましたね。かまぼこに合うパンですか・・・それはまた新時代だな。パン屋でかまぼこパン売ってたらさすがに驚きますよねえ。