さて、何度かビル・グレンジャーの話をしたんですけど、「とにかくシンプルで余計な事はしない」というのがあるんですけど(ちなみに彼は「世界一洗練された料理は日本の刺身。包丁の入れ方一つで味が決まるのだから凄い」と、ちゃんと本質を理解した発言をしています。)、それ以外にも彼の特徴として「結構お気に入りの食材を何にでも多用する」ということがあると思うんですね。
アジア好きな彼らしくコリアンダーは様々な料理で使われています。あと赤唐辛子。それからレモンも好きですね。そういえば彼が「塩レモン」を使ってましたけど、これはモロッコ料理には欠かせない食材だそうです。ほかにも「レモン胡椒」というものもあって、これは日本の柚子胡椒の西洋版といった趣とか。僕は餃子のタレに柚子胡椒を使うのが好きなんですけど、レモン胡椒は使い勝手良さそうだなあ。
あと、驚くほど出てくる食材が「わけぎ」。
わけぎってもちろん知っているけどそもそも何なの?と思って軽く調べたんですけど、本来は玉ねぎと長ネギの雑種らしいですね。長ネギは種、玉ねぎは球根で育つ違いがあるらしい。ただ、一般的には関東で葉葱(万能葱みたいな葱)の仲間の分けねぎの事を大雑把にわけぎと呼ぶらしい。
そういえばビル・グレンジャー君はわけぎを「玉ねぎの葉っぱヴァージョン」として使っているようにも見えるんですよね。面白いのはポテトサラダに使っているんですよ。
レシピをそのまま公開するのは気が引けるので簡単に書くと、マヨネーズを使わないポテトサラダで、茹でたジャガイモとわけぎを混ぜて各種スパイスやレモンで味付けする感じなんですよね。これは美味そう。ていうか簡単だし、これとチキンソテーなんかでパンを食べたらかなり相性良さそうだ。「こういうメニューに合うパンを開発してくれ」とか言われたら本気で楽しめそうだし、私は彼に喜んでもらえるパンを作れると思うんですよね。やっぱこういう仕事の方が楽しいかなあ。