オトノハコ


さて。その漫画の紹介です。
岩岡ヒサエという人の作品はいっぱい持っているんですけど(いっぱいというほど数があるわけではないが)、「温かい」とか「気持ちが優しくなる」とか「純朴」みたいなキーワードがいっぱい並ぶ作家ですよね。つまりこのブログとはほぼ正反対な芸風になるわけですけどまあいいから買え。これ読んで損したと思う人は絶対いないから。


この「オトノハコ」も上にあげたようなキーワードはもちろん当てはまるんですけどね。岩岡ヒサエ月刊アフタヌーン四季賞デビュー→月刊IKKI連載という、すれっ枯らしのマニアしか読まないような道を辿っている分「良くも悪くもそういう人向けの作品」になっちゃっている部分が良さでもあり欠点でもありだと思うんですけど、広告を見る限りこの作品は女性向け漫画誌に掲載されていたようで、それが吉と出たんじゃないですかね?ギャグの部分も振り切っていて、やたらに恋心を絡めてくるのも作品としては良かったと思うんですよ。アングラ感が程よく薄められているというか、ちょうど2時間映画を観たような話のすっきり感が実に良いです。終わり方も、物語として凄く好き。これってホトケ先輩は実はきみちゃんが好きっていうオチですよね?きみちゃんが最初に目が合って「は!あやうく恋に落ちるところだった」ってひとりごとを言うんだけど実はその時点でホトケ先輩の方が恋に落ちていたっていうこと?まあそれは分からないですけどね。
クライマックスの合唱の舞台でもコーイチ先輩の真剣振りと、他の部員のずれ具合が面白い上に凄く気持ち分かるんですよね。ここで感動をすかすのが凄く好き。


ちなみにこの漫画、「花ボーロ」収録の「オトノハコ」の続編になるんですよね。そっちでは詔子ちゃんとあさみちゃんの入部の話が載っているので、こちらも是非買いましょう。逆に「花ボーロ」ファンとしては、隠れキャラしてマスダ君が(&多分ウチダ君も)出てくる「オトノハコ」は絶対買うべきだ。どちらも凄くかわいい話ですよ。