パンを焼くとは何か

さて。
http://d.hatena.ne.jp/c-mad/20080515
週末私が甥っ子に散々絡まれて遊んでいるうちにすっかり忘れていて、気付いたら終了していたらしい私の喧嘩祭り。自分で仕掛けておいてすっかり忘れるのもどうかと思うんですけど。
ウチに戻ってきたら書こうと思っていたことを、折角だからここに書いておこう。まあ「パン職人はパンの事を全然知らないってどういうこと?」って疑問に思う方もいるだろうし。


まず順を追って書きますけど、「なぜ、相談主は今の職場を辞めて違う店に行った方が良いと書いたか」。これはですね。
パンを作る仕事って言うのはベーカリーでパンを焼く以外にもいっぱいあるんですよ。大きな工場で横型ミキサーという業務用の洗濯機みたいな物で大量の生地を生産している人、レストラン、ホテル、製粉会社や油脂の会社で生地の開発をしている人、冷凍生地の開発をしている人、新店出店を専門にしている人、コンサル、ミキサーやカマなどの開発のために生地を作っている人、パン教室を開催している人・・・
それぞれに向き不向きがあるわけですよ。ホテルのパンなどは決まった時間に決まった量を正確に作る事が求められる。開発には当然それなりに知識が必要だがスピードは求められない。カマの設定のために生地を作るなら、同じ条件で実験するために常に同じ生地をあげる事を求められる。
こんな感じで色々適性はあるから、別に一つの店でコミュニケーションがうまく取れなかったからといってそこで永遠に苦労し続ける意味は無い。
そもそもパン屋なんてどこも慢性人手不足なんですよ。僕は製粉会社や各種材料の商社との付き合いが多いので、しょっちゅう「○○で職人探してるんですけど、誰かいい人いませんか・・・」と相談を持ちかけられる。なおさら無理に同じ店にこだわる必要は無い。
そりゃ「投げ出さずに最後までやり通す事が大事だ」という意見にも一理はあるけど、「同じ店にこだわる事」と「同じ職業にこだわる事」なら圧倒的に後者の方が意義はある。


「年老いた職人」君は明らかにこういう事を知らない。パンを焼くのはパン職人だけだと思っているから「パン屋の経営者=パン職人の頂点」くらいに思っている。きわめて底が浅い。だから例えを出すにも「洗面器の水をグルグル」とか「トイレ掃除をさせられたら」等と全くパン職人としての経験でもなんでもない例えが出てくる。
ちなみに私はベーカリーでの職人としての経験はもちろん、粉の開発や生地の開発、ミキサーの設定、カマの設定の手伝い、新店出店、ベーカリーチェーン出店のプレゼン・・・いろんな事をやってきたから彼の底の浅さが丸見えなんだよ。


それから「職人は目で見て盗むというのは職人が無能だから教える言葉を持っていないだけ、と毎回私が言うのは何故か」。
上記のように、パンの仕事には様々あって僕は本当にいろんな事をやってきたけど、例えば「ベーカリーを出店したい」という企業からの話が来た場合。
当然誰しもが良い店を出したい。だが、「パン屋=職人の個人の能力が全て」なら誰も出店しようとはしない。「それぞれの店で職人が目で盗んで成長してくれるのを待つしかない」というプレゼンで誰が出資するというのか。そんなもので出店計画が作れる訳が無い。
こうなると当然説得力のあるマニュアルや技術、理論を言語化して持っていなければならない。だから「職人の勘」だの「目で盗め」等と言うのは言語化する努力をしていない逃げ口上だといっているんだ。普通にパン屋をやっていたって、近くの飲食店から卸しを求められることなど普通にある話だろう。給食のような物ならまだしも、格のある企業にプレゼンしなければならなくなった時に、彼がそれに見合う言葉を持っているように見えるか?まあ彼の店にそんな話が来るかどうかは知らないけど。


もちろん実際に現場では、それを踏まえた上で最初から全てを教えようとはしない。「何でも聞こうとせずに自分でよく見て考えろ」と突き放す。
だがそれは何もパン職人に限った話ではない。普通のサラリーマンだってそれは同じ事。彼はきっと「サラリーマンは何もしなくても優しく周りが教えてくれるのを待っている職業」と思っているに違いない。そんな会社世界中のどこにもねえよ。目に見えるものを作っていなくたってエンジニアの仕事はいっぱいあるわけだし、例えば経理だってなんだって専門職は職人と同じ。だから、俺は「年老いた職人君は世の中を舐めきっている無能な人間」と断じているんだ。明らかにこいつの方が仕事を舐めている。まともな社会人なら誰が見てもそう思うに決まってる。むしろサラリーマンの方達は彼の発言を見て職人の意識の低さに幻滅した事だろう。


まさに井の中の蛙。すくえぬ俗物。
上にも書いたが、彼の中ではパン=パン職人。だから経営者である自分より上の人間などこの業界にはいないと思っている。実にずれた思考。恐らく彼も、私をただの職人としか思っていないから自分より下の人間としか思っていないのであろう。あと、彼が私のサイトを訪問した形跡を残している事からも私を舐め腐ったことが推測される。トップページがパンダだもんね(笑)ただの目立ちたがりの馬鹿が作ったもので読むに値しないとでも思ったんだろう。そうやって外見でしか人を判断しない人間を排除するための物だよアレは。おかげで良い人ばかり常連さんになってくれて実に助かっているよ。まあ老害君が読んだ所で僕の理論を理解できるとは到底思えないがね。学習院大学出身で紀宮様と同じ教室で講義を受けていた高貴な私を舐めるとは、老害職人君もつくづく救えない人間だな。
まあ学が無くても立派な人間は大勢いる。というかぶっちゃけ僕は学歴と言う物が大嫌い。だが、学が無いならなおさら自分の経験から説得力ある言葉を出せよ。何で、職場でうまくいかず困っている人の相談に対して「洗面器の水をグルグル」とか発狂した例えが出るんだよ。何故「自分の経験からこういうことをやれば認められますよ」と言う事をアドバイスできない?君が本当は何も出来ない人間だと言う事がバレバレだよ。


彼は全く外に出て勉強した事がないからそういう事に気づかないのだろう。逆にもし彼が講習会などに積極的に参加している人間なら、僕は講義の壇上から彼を見下ろしていた可能性もある。俺に対して「先生!相当な知識の持ち主とおみうけしました!」としっぽを振ってきた人間の中に彼がいた可能性もある。どちらにせよ、彼は人にアドバイスできるような人間ではないし、一生俺の影すら踏めない程度の人間だよ。

まあこれぐらい言えば誰の目にも明らかでしょう。私の方が正しいということが。まあ自分が正しく無くてもいいんだけど、年老いた職人君の無能ぶりは明らかであろうと。


という訳で不快なシリーズは以上で終了。でももうちょっとだけ続きが読みたいという方は僕のサイトの掲示板を読んでね。
http://www1.ocn.ne.jp/~ribot/