江戸

というわけで無理やり話が続く。

一日江戸人
江戸文化に造詣の深い杉浦日向子さんの本ですね。
内容としてはかなり女性向けと思われるため食い足りない部分もあるんですけど、結構思うところがある本でしたね。
「日本原産の野菜は、フキ、セリ、、ウド、わさび、ジュンサイ、ゼンマイ、ワラビの7種といわれている」とか江戸時代の銭湯は混浴だったことは知られているけど、女性と目があっただけで痴漢呼ばわりされるような状況だったとか勉強になった事も多いんですけど、「江戸っ子って要するにニート?」というのが僕の感想なんですよね。
「宵越しの銭はもたねえ」って言うのは要するに働く気が無いということで、短期のバイトだけこなして食い扶持を稼げば後は寝ていたらしいし、長屋って多分今で言うとネットカフェみたいなもんじゃないかと思うんですよね。空間を仕切って寝る場所がとりあえず分けられているだけでトイレとかもちろん共同なわけだし。で、江戸という街はお役所勤めの「勝ち組」と長屋暮らしのニート負け組がくっきり分かれていて、負け組チームは生涯独身も珍しくなく、完全に趣味を第一に生きていて、嘘まみれの勝ち組チームを斜めに見ながらニヤニヤ笑いものにしていい加減に生きていたんですよね。これ完全に2ちゃんの住人じゃん。そのころ流行ったのは精巧な超ミニチュア家具だったらしく、これは多分海洋堂
こう考えると、「社会が進歩して働かなくても困らないニートが出現した」みたいな事を言われてるけど実は200年ほど退化しただけなんじゃないですかね。養老孟司先生も「人は働かなくても良い生活を目指してきたんだから、本当なら働いていない若者が現れてきた事を喜ぶ方が正しい。単にニートが羨ましいからみんな批判しているだけ」みたいなことを言っていたけど、僕もそっちの考えに近いですね。まあこの先の世の中は、経済的に子供が親に頼るなんて不可能な時代になるんだからこんなもん一過性のものですよ。散々良い思いをしてきた世代の親が子供にたかられてるだけでしょ。江戸時代だって遊んでいても困らない社会情勢だからお気楽生活が送れたわけであって。やっぱ同じだよ。ただ、社会の流れが速くなりすぎて、お気楽世代も気苦労世代も混在し過ぎてるから真実が見えにくいだけだろうと思いますね。
余談だけど杉浦日向子さんによると、江戸時代の人がその長屋で産まれた子をみんなで可愛がって大事に育てたのは、別に道徳心があったからとか義理人情に厚かったからとかではなく、単にその時代は長屋に住んでる男女はみんなやっちゃってるから「○○のとこの嫁妊娠したらしいけど遡って考えると・・俺の子である可能性を否定できないな」と長屋全員が思っているから自分の子の様に育てたんだそうです。何でもかんでも勝手に「昔の人は全て良い。今の若いやつは全てダメ」とか言ってると本質を見失う。「最近の若者は我慢を知らないからすぐ暴れる」とか言うけど昔の野球ファンの観戦態度なんて酷いものだったし、プロレスファンなんて結果が気に入らないだけで国技館放火してたんだぞ。どこが礼儀正しいんだっつーの。