After Answer

さて。昨日に引き続き今私はとても疲れているわけですが。
最近他のサイトなどでちょっと触れた話を掘り下げてみたりする。
まず某mixiで「仕込みのポジションに入る事になって、上手くやれるかどうか不安です」という女性の方のお悩みに答えた時の話。
パン屋で仕込みのポジションというのは重い粉袋や生地を持ち上げなければならないので体力がある人じゃないと・・・と言われがちなんですけど正解でもあり不正解でも有りだと思うんですよ。このとき僕は「自分は60歳のおばあちゃんに仕込みのポジションをやらせた事もあるけどうまくやってくれていましたよ」という例をあげているんですけど、普通はこんな事しないですよね。まあ人が集まりにくい地域での出店だった事と、その方が「始業はいくら早くてもいいからその代わり家庭の事情で早く上がれる仕事」と言う条件でお仕事を探していた経緯があっての事なんですけどね。想像していただければ分かる事ですが、基本的に生地を仕込む仕事が当然一番最初に始まる訳で。実際のベーカリーでは朝一で焼き始められるように夜中の内に冷蔵庫からホイロ(要するに適湿適温でパンを発酵させる装置)に切り替える機械がある訳ですけどね。
この時僕は、とにかく純粋に生地を作る事以外の仕事を可能な限り減らす方法を取りました。前日までに可能な限りの材料の計量を済ませておく。ちなみに僕が昔いた店では吸水や卵、牛乳等まで前日に計量して冷蔵庫に入れていた店もありましたけどそれは僕は賛成しかねますね。どうやって捏ね上げ温度を適正にあわせるつもりなんだと。
え?前日だろうがなんだろうが重い粉袋を運んで計量することには違いないじゃないか?
そうなんですよ。僕は夕方に高校生のバイトを入れて前日準備や片付けなどは全てやらせていました。まあはっきり言って雑用押し付けですけど、パンが好きな高校生なら喜んで働きますよ。「麺台の上掃除しておけ。5分以内な」とか言っておけば「はい!」って叫んで物凄い勢いで麺台を拭き始めますから。勢い余って体浮いてるくらいの元気さで。たまに「今日早く終わらせたらクロワッサン作るのやらしてやるからな」とか言うと目を輝かせますからね。つくづく可愛いもんだなあと思いましたよ。まあ女の子だったから口に出しては言いませんでしたけどね。
高校生バイトを職人の世界に入れるのも結構掟破りですけどね。使い方次第では全く問題ないですよ。期末試験中休んだりするのは参りますけど。まあこんな感じで最初から「どの状況ではどの戦力をどういう風に使うべきか」が把握できていれば上手く転がせるものですよ。どっかのボケ監督みたいに「左投手には.190、右投手には.318の打者」相手に左投手から右投手に交代させて駄目押し点を奪われるような(ry


あともう一つ。
最近紹介してもらったパンの製法で、要するに可能な限り捏ねない事でグルテンを作らない製法なんですけど、ビデオで見ると粉にまずインスタントドライイーストを入れてその上から塩を投入しているんですね。
僕がその間違いを指摘した時「なんだそんな小さな事か」と思われた気がするんですけど、こういう細かいことが重要なんですよ。酵母菌って生き物なわけじゃないですか。その生き物を、自分の身体よりはるかに大きな塩の結晶に晒して良い事が起きる訳が無い。


いきなりちょっと話は飛ぶけどすぐにパンの話に戻るから耐えて最後まで付いてきて欲しいんですけど(笑)、武藤敬司という素晴らしいプロレスラーがいてですね。この人は誰もが認める「天才」な訳ですけど、ここ数年のこの人のプロレスは
低空ドロップキック
ドラゴンスクリュー
足4の字固め
シャイニング・ウィザード
の4つしか技を出してないんですよね。で、気付いたんだけど
低空ドロップキック=ローキック
ドラゴンスクリュー=巻き投げ
足4の字固め=関節技
シャイニング・ウィザード=KO狙いの打撃技
と解釈すればようするに打・投・極の格闘プロレスなんですよね。誰にもまねの出来ないオリジナリティー溢れる技の数々と捉えられているけど、試合の骨組みの組み立て方としてはUWFみたいな基本的なことをやっていて、その骨格の色をちょっと変えてる程度のことをやってるんですよね。いや決して「単純だ」とか言ってるわけじゃなく逆に物凄くレベルの高い高度な事やってるんだなと感心したんですけど。


僕も自分のサイトでレシピを公開したりしているんですけど、一見すると物凄くトリッキーなことをやっていると捉えられがちだと思うんですよ。
でも、基本的に
グルテンの作り方
熟成
ph調整
火の通し方
ぐらいしかいじってなくて、そのいじり方のバリエーションの引き出しはいっぱいあるよ、という感じなんですね。「こういうパンを作れると、こういう食感のパンを作りたいときのヒントにありますよ」的な遊んで学べるサイトのつもりなんで。ってまあそんな大げさな物でもないんですけどね。
これも何かの縁と諦めて、良かったら遊びに来てみて下さい。結構更新はしてますので。
http://www1.ocn.ne.jp/~ribot/