今日のサン・テグジュペリの名言とパン焼き

完全とは、付け加える物がない状態ではなく、取り去る物がない状態の事を言う


休日はひたすらダラダラしたい。
のだが。朝から二度寝したりしているとあっという間に一日が終わってしまう。
一方即起きて掃除洗濯をしてしまうとかなり時間に余裕が出来るこの矛盾。


さて、先日日経を読んでいたら
「家庭用パン捏ね機開発〜日本ニーダー〜生地作り楽に」
と言う記事を読みました。ニーディングって言うのは雑に言うと混ぜる事。ニュアンスをもっと細かく言うと「粒々の物を一つのもったりした物体に作り上げる事」みたいな感じですかね。パン生地を作るのもそうですけど、餅をつくのもニーディングの範疇らしいので。あとセメントとかを捏ねるのも。


僕は職人としてしかパンを焼いた事が無いので家庭用の製パン機器についてはあまり知識はないんですけど、「ニーダー」というと「成型前の段階まで作ってくれる道具」と言うニュアンスみたいですね。
http://koukchan.exblog.jp/8184470/←こちらで確認する限り。
まあ製品の質については触った事が無いので判断できませんが。日経の記事から判断する限り、「全自動パン焼き機では物足りないが毎回手捏ねをしていては大変」ていう人向けの商品らしい。



で、家庭用の製パン機器としては「全自動パン焼き機」と言うのもあるんですね。使った事ないですけど。
今回初めて調べてみて知った事なんだけど、全自動パン焼き機という物は材料投入したら後は焼成して製品になるまで(自分が見たものは1斤の食パンだった)を行う機械なんですね。ふ〜ん。日経の記事の意味が分かった。こりゃ毎回四角いパンしか作れないんだから面白くはないわな。
そのパンを食べたいとは思わないけど機械の構造には興味があるな。どうやって捏ねるんだろ?



ていうか、この「全自動パン焼き機」をプレゼントされて初めて使ったと言う人のブログを読んだんだけど「ヤマザキパンより10倍美味しい」だそうだ。
まあそれは絶対有り得ないですね。ヤマザキって「手作りパンの対極」みたいなイメージが勝手についちゃって(まあ当たり前と言えば当たり前ではあるんですけど)「袋詰めの工業製品の代表=これを美味しいと言っては負け」みたいに解釈されちゃってるのかもしれないけど、ヤマザキパンははっきり言ってパンのことを知り尽くしていますから。本とか書いてる著名なパン職人よりも山崎の製品開発の方がよっぽどパンの事は知り尽くしてるよ。
でも、上のブログを書いた人の気持ちも分からないことは無いんですよ。雰囲気に呑まれちゃってる事もあるんだろうけど、焼きたてのパンの香りっていうのは当然スーパーに袋詰めで並んでいるパンでは敵わない訳なので。


前にも書いたかもしれないけど、パンって物凄く繊細で綿密な工程管理が必要ではあるんだけど、ぶっちゃけいい加減に作ってもそれなりになっちゃう物でもあるんですよね。
ある程度仕事を任される状態になってくると、どうしてもあれこれやりたい事が出てきちゃうんですよ。でもパン屋の場合は極力手をかけない事が最重要なので。一生懸命色んな手間暇かけてアピールする程に不味くなっていきますから。これ重要。
だから僕はいつも「自分でパン屋をやるならスタッフは製パン経験者禁止にする。むしろ違う分野での工場長の経験者とかがいればベスト」って言ってるんですよ。自分がやりたい事に、余計なものは一切付け加えずにひたすら能率を上げる事だけを考えてくれる人が良い。


そこで冒頭の言葉ですよね。オーガニックだの天然酵母だの本場フランス仕込みだのネットやテレビで話題だの、例えばそういう「付け加える物」は僕には一切必要ない。それより「もうこれ以上切り捨てたら成り立たないよ」っていうところまで削り落とせる事の方が重要。