From Letters

最近NHKで、タモリが東京の街を歩く番組をやっているんですけど、この番組をウチの親も好きらしくて先日この本をプレゼントしたんですよ。

タモリさんは「町には記憶がある」という事を言われているんですけど、その観点から観るとタモリさんが坂を好きなのは良く分かりますね。坂とか川って区画整理が行われても昔のまま残りますからね。

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先日アミノバイタルの回収騒ぎがありましたけど、騒動の元の発がん性が疑われているアセスルファムKって確か某カロリーゼロ炭酸飲料に使われているんですよね。基本的に「カロリーゼロと言ってるくせに妙に甘い」物は怪しいと思った方が良い。
とか書くと、「カロリーオフの食品を摂取すると即死する!!」くらいの過剰反応されちゃうので困り物なんですけど、糖尿病の人とかにとっては限りなくカロリーの低い甘味料というのはありがたいものな訳で、これは「宣伝文句としてカロリーの低さを競わされる羽目になってしまった事」を問題視すべきだと思うんですよね。ただ単に「美味しい」というだけでは売り物にならず、「有名人も愛用!」とか「大人気ブログで取り上げられた!」とか「○○(地名)産原材料使用!」とか「これを食べると健康に!」とか付加価値を求められちゃうからなんですよね。一見「ただ単に美味しいだけ」よりも付加価値があるように見えるけど、良く考えると上記したような宣伝文句ってなんら価値を保障するものでは無い。「いまならお洒落小鉢プレゼント!」みたいな目に見える付加価値なら意味有りますけどね(笑)。
何度か書いてますけど、食品添加物はとかく悪く言われがちですけどはっきり言って添加物の研究している人は無農薬野菜の研究している人と変わらない位真剣に安全性の事は考えてますよ。


さて、今日は私のサイト↓宛に頂いたメールから。
http://www1.ocn.ne.jp/~ribot/
一念発起して自宅でケーキを製造販売しておられる方からの相談だったんですけど、最初は「ケーキの中身が糸を引く」っていう相談だったんですね。私のブログは「ロープ菌」で検索するといまだに上位に入るらしくて、そこで私のサイトに辿りついたらしい。結局改善されたようなのでまずはめでたしめでたし。
で、その後いくつかやり取りした中で、「玄米粉を使ったケーキを開発しているのだが粉によって製品がまるで違う。特にコシヒカリの玄米粉を使ったケーキは外郎のようになった」という相談を受けたんですよ。
米でも小麦でも商品(あえて品種とは書きません)によって特性はかなり違う。
そう言われると「そんな事はわかっている」と誰もが答える訳ですよ。でもそれを実感として理解している人はなかなかいない。コシヒカリという米は粘性がかなり高い米なんですよ。だから外郎に近いケーキができてしまう事も、米にもケーキにも専門知識の無い私にでも容易に想像は付く。どんなお米も、設定した目標に近づくよう品種改良を気の遠くなるほど重ねてきた果ての結晶な訳ですからね。ていうかそもそも稲作自体本来は日本のような寒い地域には不向きなものなんだし。


製品開発をする時に「今この食材が流行ってるから」とか「有名な食材だから」とか言って客が材料を持って来たりする事があるんですけどね。そういう理由で設計を崩されるのが一番困るんですよね。相手は「これで美味しくなる」と思い込んでるから。極端な話、スィーツに超美味しいカレーをかけて、有機農法で作ったブログで話題の大根を突き刺されても困る。そう説明しても「本当にその通りですね!でも材料の種類を変えるくらいいいでしょ?」ってなっちゃうんですよね。パンなんて化学反応で出来てるものだから、例えば砂糖とか塩とかバターとかの品種を変えるだけで、味はおろか食感自体がまるで変わっちゃう事もあるんですよ。「美味しい水を使ったら不味くなっちゃいました」なんて事も良くありますからね。でもそういうことを言うと面倒くさいから言い訳しているとか言われちゃうんだなあ。お前の理解できない事を知っているからこっちは専門家なんだよと言いたいんですけどね。
材料費で頭を悩ます方が全然マシ。その悩みはむしろやりがいが有りますからね。ギター職人の友人に最近聞いた話ですけど、ギターに使う木はムーンウッドといって新月の真夜中に伐採した物がよいらしいんですよ。詳しくは知らないけど、多分一番光合成していない状態が良いとかそんな感じですかね?そういう物で、ちょっと小さくてギターの材料には出来ないものを激安で手に入れて、ちょっと継ぎ足して安く質の高いギターを作ったり工夫をしているらしいです。そういう工夫は実に楽しい。


要するに「その食材に合った料理を作る。その料理に合った食材を使う。」という当たり前の事をしましょうという事です。もちろん驚くような組み合わせとか製法とかはいっぱいありますよ。でもそれは、シャーロック・ホームズの推理と同じで、途中の思考の段階を見せずに最初と最後だけをみせるから「どうしてそんな推理が出来るんだ!」って驚くだけの話であって、必ず理論立てた研究の試行錯誤があるわけですよ。はい。