パンの材料の事についていくつか書いておきましょうか。

パン職人として働いていて、たまに店に出ると
「このパンはどこ産の小麦を使用しているのですか?」と聞かれることがあります。

現在、一般的に性パン用として使用される小麦はほとんどカナダの春小麦。それにアメリカ産が混じってることが多いと考えておけば、大概間違いはないです。商品として流通している小麦粉は、れっきとした規格書があるので基本的に同じ原料から作っています。
それがなんで上記のような雑な言い方になるかと言うと、

例えば「A」という小麦粉は蛋白量、灰分量、アミノ酸等のバイオデータが決められており、一方「小麦」と言うのは当然生き物なので、収穫の度にデータが違うわけで、最終的に「A」と言う粉を使用する時に同じ様に使用できるように、他の種類の小麦をブレンドしたりして、データをあわせて出荷しているのです。

 つまり、「パンフレット等にはカナダ産と書いてあるけど今回だけアメリカ産の小麦も混ざっている」なんて事がほとんどなので、厳密に「この製品はどこ産」とは言い切れないのです。これはいいとか悪いとかの問題ではなく、安定して製品を出すための当然の措置な訳です。

もちろん、こだわっているお店の職人さんとかはフランス産の小麦とか使っていたりしますけどね。

ちなみに、以前中国でパン屋をやったことのある人に聞いたことがあるんですけど、中国の食材はことごとく製パンには向いていないそうです。
内麦(国産小麦)を使っていることを謳っているパン屋さんも多いですけど、率直に言ってアジアの小麦は味、作業性ともあまりパンには向いておらず、やはり麺類に向いているようです。
そういえばイタリア産の小麦と言うのもパン業界では見かけないなあ。「デュラム・セモリナ」を使って種を作った製品は見たことあるけど。

やはりその土地で取れた食材に最も適した調理方法がその土地の人のソウルフードになるんですね。

パンについてもっと知りたい方は、詳しくは私のサイトも是非ご覧下さい。→http://www1.ocn.ne.jp/~ribot/