さて、メインイベントというか、私が最も興味深く見に行ったのが山崎パンブース。

普通の人は、私がこのコラムで山崎パンを褒めるのを意外に思われるかと思うんですけどね。
実際技術力は日本一だと思いますよ。

「品質的に、面白くはないけど欠点が少ない物」を作って、安定して供給できるようにする、
日本人がもっとも得意そうな事を全力でやり遂げてますね。あれ?あんまり褒めてないか?

ヤマザキのブースの主眼は
「スーパー、駅などに省スペースで焼き立てベーカリーを出店しよう」
という事。
2.5坪で厨房が作れるらしいですよ奥さん!!!オレの部屋(6畳)より狭いのかよ。
まあ冷生地ですしね。あと、スーパーとか駅みたいに、すでにインフラが整備された所に出店するのは楽ですからね。
路面で独立店舗として出店すると着替えとか倉庫とかで困るんですよね。
かと言って、一人で全てをこなして、とても採算が取れるだけの生産量は保てないですから。

類推すると多分イニシャルはめちゃくちゃ安く設定するのでしょう。
ヤマザキとしては、その後ずっと冷生地を使い続けてくれることが重要だから。
携帯電話安く売りつけるのと同じ手法。

あとはパートだけでまかなうから、人件費は超安く押さえるからね。事実上
「やまざき様からお恵み下さる冷生地」くらいにしか費用はかからない。
これも、後から「お客様に飽きられないよう常に商品改廃をする必要がある」とか言って原価率の低い商品に摩り替えていけばいいだけですから。美味しいなヤマザキ

まあ正直冷生地の品質とか製造設備には特に興味惹かれなかったけど、
ショーケースにはそそられましたね。
すし屋のカウンターの、ネタとか入っているガラスのケースみたいなヤツなんだけど、
コンパニオンのお姉ちゃんいわく、
「ご覧のように、ケースの上から風が出ていて商品に埃がかぶるのを防いでくれます。」
「ご覧のように、下から蒸気が出ていて商品が乾燥するのを防いで、これでいつでも
焼きたてふっくらのパンを売る事が出来ます」
との事。

どう考えても矛盾する事言ってないか?

まあいい。ただやりたい事は分かった。
でも食品に蒸気をかけっ放しの陳列って大丈夫なのか?夏場とかやばくないか?


この、ヤマザキの方向が一番利益になるのは良く分かるんですよ。
実際オレがパンと関わりない人間だったら、
投資家としての立場なら絶対ヤマザキのシステムを推す。

でもねえ。
これって結局今の日本が抱えている問題そのままじゃないかな。
人件費抑えて見せ掛けだけの好景気を続けるという。

しかも、技術のある人間を殺してパートのおばちゃんが
ヨン様記念館だかなんだかに遊びに行くような
小遣い稼ぎの費用目的の産業に摩り替わるんだよ。

でも、安くて便利で特に問題ないパンだったら買っちゃうもんなあ。
ヤマザキも、この路線を行くなら、
ある程度技術と開発力と指導力があるパン職人はまとめて面倒見て欲しいよ。
じゃないと人材流出が加速して気づいたら食品に関わる仕事は全部タイ人がやってますとか
取り返しの付かない事態になるよ。

食品の安全性とか、奇麗事並べても
ここをちゃんと肌で理解してる人がどれだけ発言力があるのか。

パンについてもっと知りたい方は、詳しくは私のサイトも是非ご覧下さい。→http://www1.ocn.ne.jp/~ribot/