よく天然酵母イーストの違いっていうことを聞かれるんだけど、
イーストと酵母って同じ物なんですよね。

じゃあ天然ってなんやねんって話なんだけど、
酵母っていうのは空気中に自然に飛んでいる物なんですよ。
それがデンプン質のものに付着すると、デンプンを分解して糖分を作り、それを栄養にして
いわゆる「発酵」っていう活動をするんですね。
漫画「もやしもん」の中で、大きなステンレス槽に麦ジュースを張って
そこに空気中の酵母が飛んでくるのを待ってビールを造る
っていう場面が出てくるんだけど、そんなイメージ。

前にも言ったとおり、天然というだけで物凄い身体に良いイメージとか
がついているように思うけど、別にパン用イーストを使ったからといって
天然物の魚と養殖物の魚のような意味での違いはあまり無いです。

ただ、自然種を使ったパンの方がアミノ酸の含有量が格段に高いそうです。
アミノ酸といえば、味の面だけでなく栄養素としての面でもご存知の通り
非常に重要では有るんですよね。
そういう意味では自然種を使ったパンの方がアドバンテージはありますね。
天然酵母や種を使ったパンを販売している人は
そういう事もアピールしていくと良いかも。

ただ、上記した事ってサワーブロードの専門家が
市販されている袋詰めの食パンで取ったデータらしいんですよね。
だから必要以上に種を使ったパンのよさをアピールしている面もあるというか、
工場で作ったパンの栄養面のデータとか出されても
ちょっとな、と思う部分もあるわけで。

そもそも日本人の普通の食生活では、
タンパク質由来のアミノ酸は十分に摂取されているので、
別に「パン用イーストを使ったパンには問題がある」
というわけではないんですよね。
管理の大変さとかを考えると、特に家庭で作る場合などは普通にイーストを使えばよいし、
正しい環境(特に温度面)で発酵するように気をつけて、
必要であれば予備発酵をするとかの一手間をかけてあげれば
十分だと思います。

イーストは発酵する際にアルコールも排出するので、温度が高すぎたり発酵時間が長すぎたりするとアルコール臭が強くなりすぎてしまいます。なので、生地をこねる場合は温度が高くなり過ぎないように注意しましょう。
(低めの温度でじっくり発酵をさせた場合は、フルーティー吟醸香が得られます)。
そして、イーストを投入する時に吸水に溶いて入れてあげましょう。そうする事によって不活性のイーストが残ることを防げます。これによってイースト臭いパンになることを防げます。

予備発酵というのはドライイーストを使用する時に行うんですけど、店で作る時には手間と時間がかかるので嫌がられるケースが多いんですけど、家庭で作る(つまり時間に終われずに作業できる環境)なら良い香りが得られるので意外と有効だったりするかもしれません。
予備発酵の方法は、例えばイーストを10g使う時は37℃程度のお湯60gに砂糖6gを溶き、そこにドライイーストをゆっくりと重なり合わないように入れます。15分ほど放置するとイーストがみるみる膨れ上がります(冬場などは湯煎をしてあげると良いでしょう)。これを仕込む時に生地に入れます(本捏の吸水量から予備発酵に使用したお湯の量を引くことを忘れずに)。これだけでも手軽に風味の良いパンは作れます。

詳しくは私のサイトも是非ご覧下さい。→http://www1.ocn.ne.jp/~ribot/