先日とある食品添加物関係の本を読んでみたら凄かったですよぉ。
「食べてはいけない食べ物・・・さつま揚げ。保存料が使用されています。ただし使用されていない商品もあります。」
「食べても良い物。・・・うどん。ただし輸入した小麦を使用しているものには残留農薬がみつかることはあります。ただし検査してみないとわかりません。」


・・・。
この文章読んで「なるほど!うどんは食べてもいいけどさつま揚げは食べちゃダメだ!」と思う人っているのか?ていうか真面目な話、そういう素直すぎる人間でないと幸せな人生は送れないような気もしてきた。
他にも「ビタミンCを大量に摂取すると気分が悪くなることなどがあります」等不可解な記述が満載。塩でも砂糖でもお前が大好きな醸造酢でも大量に取り過ぎたらそりゃ悪影響あるだろ。しかも「気分が悪くなることもあります」って・・・。ある意味今までの人生で一番充実した立ち読みだった。


さて。

最近とある雑誌(ぶっちゃけ中央公論)で面白い新書の一つとして紹介されていたので購入したこの本。
要約すると
「活性水だの磁化水だのπウオーターだのあんなもん全部科学的根拠は何もない」
という事を説明した本です。
「最近健康に気を使うようになって色んな浄水器とか試したけどあまり効果がある気がしないのよね・・・」
みたいな方は読んで損はないと思います。


・・・率直に言って僕はこのくらいの事は全部知ってたことなんだよなあ。まあ僕の場合は職業柄というのもあるし、「新書」というポジションを考えたらこのくらい軽い方が良いのかもしれないですけど。


でも「科学リテラシー」という言葉を使って大所高所から御託宣いただいているような物言いの割には隙が有り過ぎなんですよねえ。「言霊」という言葉の意味を理解していないし、「サウナスーツを着てジョギングをしてもダイエットにはならない」と書いた12行後に「ダイエットは消費エネルギーを増やす以外に方法はない」と書いちゃってるのも失策。そもそも水と汗が同じ成分の訳がなかろうに。人体から純粋に水分だけを抜き取る方法が見つかったらノーベル賞もらえちゃうんじゃないですかね(笑)。よくしらねえけど。
僕の個人的価値観として「身体に良い物」っていう発想をしない方が良いと思っているんですよ。逆に「身体に不自然なものを遠ざける」っていう発想じゃなきゃいけないのではないかと。
上に書いた添加物の例もそうですけど、単純に「まあ香料とか着色料とか、無くても構わない物は摂取しないに越した事はないよな」という程度の発想が正しいと思うんですよね。この本でも「活性酸素を悪役にし過ぎるのは良くない。元々人体には活性酸素の毒に対する防御機能を持っている。」と書いて有るんですけど、そういう発想の方が多分正しい。政治でも家庭でも「何事もない」事が最も望ましい訳ですよね。無理矢理「良い事」を押し付けられるのが一番問題な訳で。いかん話がずれた。


いや、書いている内容は大体ごもっともなので批判ではないんですけど、改版される際はこういうツッコミどころは是非訂正されるのがよろしいかと思います。


要するにこの方は「科学的に裏付けがある風を装った、根拠ない宣伝に騙されないようにしましょうね」って言いたいわけですよね。そういうのって「科学リテラシー」っていうのかなあ。単純に「もっと世間ズレしろ」の一言で良い様な気がするんですけどね。まあある意味「社会科学リテラシー」なのかな。


ていうか、「科学リテラシー」っていう言葉を使うなら反論の科学的根拠の論文の引用とか載せていただきたいんですよね。web上で観られるならURL貼ってくれるだけで構わないので。それだけで断然この本の価値上がるんだけどなあ。
唯一使えるデータが「ミネラルウオーターと水道水の水質基準比較」なんですよ。それ(国連大学副学長:安井至氏の著書)によると
1)水道水にだけあってミネラルウオーターにはない水質基準=トリハロメタン等の有機物、農薬類、その他多数。
2)ミネラルウオーターにだけあって水道水にはない水質基準=バリウム、硫化物。
3)ミネラルウオーターの方が水質基準が緩い項目は以下の通り(全て1リットル中の許容基準の割合)。
砒素(ミネラルウオーター=0.05mg/水道水=0.01mg)
フッ素(ミネラルウオーター=2mg/水道水=0.8mg)
ホウ素(ミネラルウオーター=5mg/水道水=1mg)
亜鉛(ミネラルウオーター=5mg/水道水=1mg)
マンガン(ミネラルウオーター=2mg/水道水=0.05mg)


う〜む。
大まかに言って「水道水よりもミネラルウオーター(というよりボトルドウオーターというべきか)の方が安全とはいえない」という結論にしかならないような。これ凄いね。ある意味営業妨害だろ(笑)。


以前に書きましたけど、少なくとも安全性や味に関して言うなら、製パンに使う吸水は水道水にマイクロフィルターと活性炭を使用している程度の最小装備の浄水器を取り付けて一晩備長炭入れておけば十分だと思うんですよね。よっぽど自分が狙った食感のパンを作るために硬度等に拘っているのでない限りは。水によってパンの出来は本当に驚くくらい変わりまからね。僕はCPU搭載の、全く同じ条件でミキシングを再現できるミキサーで日本各地で同じ吸水量でも水質によってどれだけパンの出来が違うかまざまざと見せ付けられてないてきた経験がありますので。「職人にだけ分かる微妙な違い」なんて物じゃなく一目見て生地が硬すぎたりドロドロだったりはっきりわかるレベルで違うんですよ。



結論として
1)とりあえず健康関連の商品の宣伝文句は薄目で見ておいた方がよろしいよと。
2)活性酸素を取り除く(という謳い文句の)水なんて飲む位なら抗酸化作用のある普通のお茶飲んでおけ。
3)普通の家庭なら水道水に最小設備の浄水器を取り付ければ十分。さらに備長炭入れておけばOK。それ以上カルキやトリハロメタンが気になるなら10分程度煮沸すれば揮発します。
4)でも汗はかいた方がダイエットになると思うよ(笑)。
というところですかね。終わり。
よかったらあたいのパン作りのサイトも読んでくださいね。
http://www1.ocn.ne.jp/~ribot/