多分。

思えばこのブログも、「パン職人&パン生地の開発の研究を通じて得た知識をまとめてみたい。そんな個人サイトを作りたい。そのためにまずは練習台&客寄せ用としてブログをはじめよう」と思って作ったもので、そこから(多分)この春で2周年になる訳ですよ。2年前の春だったのは覚えているんですけど正確にいつ頃だったかは非常にうろ覚え。


だからと言う訳でもないんですけど近日中にサイトのコラムを更新します。


そんな訳で、このブログのパンタグの話を書くのも久しぶりなんですけど、久しくこっちを書いていなかったのは「レシピは書くことが出来ても、さすがに何年間も書き続けるほどにはパンの雑ネタがない」とか「私は寒いのが大嫌いなので、寒い時期にパンの雑ネタを書くと『有名店の○○は実はもう全て冷凍生地に入れ替わっているからまともな職人は全ていなくなってしまった』とか『都内にある某有名店では法律の定めより安い給与で雇用している事が問題になって査察が入った』とか『○○という学校は経歴を偽って長年職人をやっていたと言う嘘をついて講師をやっている人間がいるから言う事を聞いてはいけない』とか無限に悪口を書き続けてしまうから」とか色々あるんですけど(笑)、とりあえずありがたい事に私のレシピのパンを焼いてくださる方がいてですね。有名なブログなどに公開して頂くとアクセス数が飛躍的に伸びるわけなんですけど、そうやってたまたま飛んできた人と、毎回観て下さってる方を同列にはしたくないなと。ていうか、某有名ブログに「しまださんのサイトを教えていただき本当にありがとうございました!今まで知らなかった事を一杯知る事ができて本当に感謝しています!」とかコメントが付いたりするのを観るに付け、それはどう考えても私に感謝すべきなのではないかと(笑)。お前ブログ作ってアフィで稼ぎたいからゴマすってるのがみえみえだよと。あ。結局悪口になった(笑)。


そこで今日は、今まで書こうと思って、機会がなくて書いていなかったことを書いておこうと思います。まず職人の仕事について。
先日も書きましたけど、よく多額の借金返済のための仕事としてネタにされるマグロ漁船とパン職人。内容としてはほぼどっこいどっこいで収入はパン職人が激安と言った所でしょうかね。まあパン職人といってもピンきりですけど。
で、一日20時間労働を丸一ヶ月休み無しとかそんな感じであまり仕事が多過ぎると、疲れるとか嫌だとかいうのを通り越して忙しい事に飽きてくるんですね。「まだ忙しいの?もう飽きたよ(笑)」みたいな。こういうダラダラと無駄にひたすら頭を無にしてロボット化しなければならない仕事というのは日本人の得意技なんですかね?それならそれで管理者が全面的に責任取るならいいんだけど、「命令には全てYESと答えろ。そして行動の責任は全てお前が取れ」っていうのがデフォルトになってるからそりゃこんな国滅びるに決まってるわなと。


そういうどうでも良い事はいいとして、次にパンの作り方の話。
色んな方から質問されてつくづく思うんですけど、パン作りに必要なものは「工程管理」これ一つに尽きるんですよ。ご家庭で素人さんが作るのもプロの職人が作るのも基本はこれ。
当たり前だろと思われるかもしれないですけど、プロのパン職人ほどこれを無視している職業もないだろと思うくらい無視されてるんですよね。散々「こだわりの食材(笑)」とか「研究を重ねたレシピ(笑)」とか言ってる割に、いざ工程に乗せると生地の状態や管理を無視してその日の流れに合わせちゃうんですね。ちょっと品薄の物があったら追加で仕込ませて工程をグチャグチャにしたり。「工程も重要なレシピの内」という事を全く理解していないんですよ。だからいくらこだわりの天然酵母とか言ってもぶくぶくの過発酵で台無しのパンとかを平気で売ったりするんですよね。それを客が「美味しい!何故なら電通がプレゼンしているから!」みたいな理由で絶賛してしまう。だからパン屋って開店時が売り上げのピークで徐々に落ち込んでいくんですよ。
他の方のブログとか観ても、レシピと言ってる割には単なる配合だけが書いてあって工程についての説明が疎かな例が多いんですよね。配合はあくまで単なる「配合」ですから。パンは生き物なんだから、産んだら産みっ放しでまともな育て方していないパンが美味い訳がない。逆にブランド物じゃなくても愛情込めて丹念に育てられた「生き物」は美味しいですよね。変な言い方ですけど(笑)。「こだわり食材!ブロイラーは使ってません!」とか言ってるヤツがそんないい加減な「育て方」でどうするよと。
「有名パン職人(笑)」って大概その場の思い付きで「こういう事をやってみたら面白い」とか言って何か試作し始めるんですよ。そういうものが面白かった例を僕はただの一度も観た事がありません。まあ全部終わってから一人で残って試作し始めるなら勝手にやればいいんですけど、大抵作業を止めて勝手に割り込んで始めるんですね。だからダメなんですよ。「今日はこのパン売れてるなあ」とか「昨日貰った新しい粉を試してこういうものを作ってみたいな」とか思ってもその日はじっと我慢してその日の工程を忠実にクリアする事を最優先する。これに尽きます。「上に書いた職人の実情と違う事かいてるじゃねえか」とお思いですよね?そもそも「夜中の0時に始めて終わるのが翌日の22時」なんていう工程自体が正しいパン作りの工程じゃないわけですよ。さすがに僕が入店して改善しましたけど、それが当たり前になっちゃうと「スムースに仕事が終わるのは一生懸命仕事したとは言えない」とかいう妙な意識が根付いちゃって意識改革するのが大変だったんですけどね。
で、「工程管理」と書いてしまうとなにやら大掛かりな感じがして「家庭で作る時にはそんな事出来ないのではないか」と思われるでしょうけど、簡単なんです。ただ決めた時間に決めた事をやれば良いだけの話ですから。失敗しちゃったり突発的な用事が入ったりするのはここでは考えないんです。アクシデントはしょうがない。問題は「故意に工程を疎かにする事を何とも思っていない」事が絶対悪だと言う事なんです。こだわり食材だの国産食材だの天然酵母だのロハスだのエコだのそんな事はどうでもいい事なんです。


というわけで私のサイトはこちら。
http://www1.ocn.ne.jp/~ribot/