あえて釣られてみる

mixiニュースに「かんなぎ」の文字が躍っていたので何かと思ったら「かんなぎ作者急病で休載。ヒロインの過去に男性経験があることを匂わす描写でネット上で祭りに。単行本を引き裂いた画像をうpする者など過激な批判が相次ぎ心労がたたったのではないか」という事らしい。


・・・これ、僕は手元のコミックREX12月号を何度読んでもどこら辺が男性経験描写なのかさっぱり理解できなかったんですけど、どうやら「想い人」「昔の恋人」として描かれている男性がいる事が気に入らない方々がいるらしく「男がいたなんて!=非処女だったなんて!=絶望した!という話になったらしい。はあ。
で、この事に関して「いわゆるオタクと言われる人達の精神構造、行動分析」的な事をブログ等で書いておられる方がいっぱいおられるんだけど、2ちゃんでどんな事になっているのかとかは全く調べずに敢えて釣られてみると、いやそれ以前にツッコミどころ多過ぎだろうと。


まず「過去に恋人がいたなんて!」っていう事を問題にするなら

第一巻P133で「好きな人がいます」とヒロインが語っている時点でまず幻滅しなきゃおかしいじゃないかと。


それでもまあ好きな人がいるのは構わない。問題は具体的に交際相手がいた事だ!っていう話なのかもしれないけど、それでそこまで話を飛躍させるのかと。なんか「男女が指輪を合わせて変身するなんて猥褻ザマス!!」とウルトラマンAに因縁つけるPTAみたいだな。
というよりですね。そもそもなぎは全ての生命体の産みの母親(多分)な訳であってそういう意味ではそこに因縁をつけるのは筋が違いますよね。

単行本第三巻P90にはこんな妊婦姿描写まである訳で、こっちの方がよっぽど衝撃的だろうと。あまり日本書紀とかに詳しくないので知ってる限りでざっと推測すると、


1)穢れ=普通に考えると「死」。穢れを集めて実体化されると言う事は男(大東)は黄泉の国の住人。東出雲町に「黄泉比良坂」という黄泉の国への入り口(と言われている場所)があるのでそこら辺から付けられた名前ではないか。
2)イザナギは黄泉の国から帰ってきた時に穢れを落とした(そこから産まれたのが天照大神)。名前が似ているなぎは生命の誕生を司る神。つまり死を司る?大東とは表裏一体の存在。なぎが黄泉の国に行かなければならない出来事が起きて、そこで大東と何か因縁があった?


くらいの感じじゃないですかね。いやあんまり物語を謎解きっぽく観るのは好きじゃないので全く裏を取らずに書いているので事実誤認があってもあらかじめ御了承下さいって感じですけど。



要するに何が言いたいかというと、なぎは男が居ようが居まいがバンバン妊娠してその町の生命体を産みまくっていた存在であると考えられる訳で、大東が「昔の恋人」として描かれたからってなんやねんと想うんですよね。大体そこまで思っている「昔の恋人」が目の前に現れて失われた記憶が一気に甦ったという話ならなんでなぎの頭に浮かぶ「楽しかった思い出」が全部仁との思い出なんだよと。五百兆歩程譲って男女交際的な表現があったとして、それで単行本を引裂くほど怒るならお前らのベッドの下の同人誌は一体何なんだと。


単行本を買って読んでいるなら普通にこれくらいは推測できるだろうと思うんですよね。作者の武梨えりさんが本当にショックで倒れたというなら、「結局読者は何も読んでくれてないんだな」と言う事にショックを受けたんじゃないですかね。普通に考えたらヒロインの妊婦姿を書くほうがよっぽど踏み込んでるじゃん。
まあアニメ化されて急激にファン層が広がったっていう事も背景にあるんでしょうけどね。僕の感想としては「清純派アイドル」なんてもう絶対に作る事はできないと思われていたこの時代にここまで過剰反応させる「清純派アイドル」を作っちゃったヤマカンはやはり凄いなあと。原作もアニメも面白いもんね。僕は普通にファンなので早く回復して連載再開して欲しいなあと。