夏のあらし!

鳩首相が「経済合理性に偏らない経済の実現」という基本方針を表明した事を「合理性を無視ってどんな経済だよ!」と突っ込む人が多いらしいですけど、これ、フォン・ミーゼスの社会主義経済では経済計算は不可能だから、合理性を問う事は無意味。社会主義経済の不合理は自明の理」という主張を思い出すわけですよ。要するに幸の彼は左利き。「公共投資をしない、非合理的な社会主義」って凄まじい失業者のあらし!になる気がするんですが。


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本題に入る前にもう一つ余談ですけど、BSでひだまりスケッチ×365特別編を観ました。一瞬だけ、受験生のなずなと乃莉が登場しましたよ。3期は多分ゆのっちが2年になってからの話がメインですよね。とか言いつつ古い話も平気でやるとは思いますが。
それより、CMが気になったんですよね。kanonけいおん等のCMに混じってAngelBeats!のCMが流れたんですよね。と言う事はTBSでやるのか。段々情報が出て来始めたAngelBeats!ですけど、キャラデザはストパン平田雄三、監督は岸誠二。テンポは大事ですよねテンポは。


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さて、夏のあらし!ですよ。
アニメ第一期は、恐らく他の作品と時間が被って観てなかったんだと思うんですけど、構いません。DVD全巻揃える事に躊躇い無いです。原作もアニメも今期一番の傑作なのはまず確実。先週は潤と姉の話でしたけど、原作とは全く違うオリジナル展開で好き勝手にやっている様でちゃんと「未来が過去を決定する」というこの作品のキモの部分を拡大した話なんだから、原作ファンには非常に納得の行くオリジナルストーリーですよ。一見さんにはどういう話なのか意味不明かもしれないですけど、話が4話まで進んでいる段階であんまり親切にされてもつまんないですからね。「本当に大事な部分だけはしっかり押さえて、あとはわざと全然違う事やるよ」っていう演出をされると「お!ちゃんと観る側のセンスを信頼してくれているんだな」となりますからね。賛否両論あると思われる新房昭之監督×シャフト作品ですけど、私はこれで全面的に支持する事になりました。ていうか絶望先生のアニメ版があまり好きになれなかったのは、絶望先生の原作自体が(良い意味で)不親切な作品だからかもしれない。
ところで潤のパンツ(の入った引き出し)がやたらに出てくるのは、胸が無い設定の潤にとっての「女の子」としての記号としての表現なんですかね。原作の姉妹エピソードは、違う形で「女性」という事を表現した訳で、あれをもっとかわいく表現したのかなあと思ったんですけど。
ちなみに私は第二期開始時点では原作を一切知らず、闇雲に録画予約をした有象無象の中の一作品だった訳ですけど、第一話の冒頭で物語の概要はしっかり理解できました。ここら辺はちゃんと親切。ところでOP曲、噂には聞いていた相対性理論のボーカルの人を近田春夫高橋幸宏がプロデュースした曲なんですよね。第一期のOPは面影ラッキーホール。もう、参りましたとしか言い様が無い。ついでに小見川千明の声も「参りました」としか言い様が無い。あの声、あの演技。完璧です。これ以上ないくらいはまり役。


一方原作ですけど、驚いたのはこれがスクールランブルの作者によるものだという事なんですよねえ。もっともスクランは「何となく見かけた事があります。今風のラブコメで、柱の編集センスが野中英次作品のパクリっぽいヤツでしょ」という程度の非常に失礼な認識だったので、全く意外でした。侮れないな小林尽





これは良い方向に意外でしょ?。「戦争でしんだ女の子が、幽体となって現代に存在し、現代の人間と通じ合ってタイムリープする事が出来る」という話ですけど、戦争の真っ只中に現代っ子(潤)を連れて行っちゃって「こっちは無関係なのに巻き込まないで!あなたには無事に元の世界に帰す義務がある!!」と激怒する潤に対しての「私たちが望んでこの時代に生まれたとでも?そうよ巻き込まれたからにはしょうがないの」っていうカヤさんのセリフが強力ですよねえ。本当に戦争に「巻き込まれた」人に正面からこんな事言われたら返す言葉が無い。
あらしさんのノブレス・オブリージュぶりも凄く素敵です。あらしさんは、兄の名前が麟太郎。勝海舟がモチーフと推察される訳で、戦乱に市民が巻き込まれない様に奮闘する部分が重なるのでよろしいなあと。
やよゐの芯の強さも根は同じ。そして、そんなごく一部の富裕層のために搾取され続ける貧しい自らの境遇を逆恨みし続けていたのに、あらしややよゐの強さを理解する加奈子。みんな素敵だと思います。あ、コミックガイドでは加奈子の秘密の詩集が公開されてますけど、これ相当面白いですよ。


という訳で、買って損無い作品なので少なくとも原作は購入を強力にお奨めします。今の段階でアニメから入ると何だか良く分からない可能性もあるので、原作をきっちり読み込む方が良いでしょう。まだ6巻までしか出ていないから集めるのにそれ程負担無いし。それからDVDをレンタルなどして、徐々にドツボに嵌ってこっちの世界にいらっしゃいという感じですね。まあ、いらっしゃらなくても一般人が観ても充分面白いはずだと思いますが。



この作品、作者の小林尽に二万字インタビューとかして欲しいんだけどなあ。何故登場人物の姓が京都の地名ばっかりなのかとか「死」「殺」をそれぞれ「し」「ころ」とひらがな表記にこだわるのは何故なのかとか訊いて欲しいんだけどなあ。ちなみに作画の事を言われる事も結構あるみたいですけど、作者が「かわいくないから嫌いと言われても、ボクはその表情が好きだから仕方が無いし、否定されるとかえって挑戦してしまう。」「美形が勧善懲悪しないと落ち着かないとか、醜い奴が懲らしめられてしかるべき、というエンターテインメントに対して、挑戦したくなる。」と語っているのだから、それが狙いなんですよね。ちゃんと「かわいい」画もたくさんあるわけですし


そもそもスクランの作者なんだから「今風の、かわいい」画を描けない訳が無い。それにしても中学生時代のあらしさん、かわい過ぎる。


あらしさんをヒロインとして徹底させているのも好感度高いです。単行本のカラー扉絵が、2巻でカヤさんだった以外は全部あらしさんなんですよね。「潤の人気があるから・・・」とか安易に流されない所が素敵。



あと、「戦時中と現代を行き来する話なのに何故中途半端な’70〜’80年代歌謡曲ばっかり使うの?」と最初思ったんですけど、原作が’80年代マンガ表現を多用しているから、そういう意味では自然なんですよね。私は音楽好きでもあるのでこっちの方も大変楽しみなんですけど、インパクトという意味では、思い切って「塩谷(杉田智和)がガンダムを歌う」というのが良いかと思います。杉田智和といえばガンダムですし、「ガンダム大好き→白い物しか愛せない体質に→白米に塩をかけて食べずにはいられない人に」という塩谷さん裏設定を作るという事でどうでしょうか。「’80年代を代表する名曲だから選んだだけです。他意はありません」と言い切って、しれっとカバーして欲しいなあ。権利関係担当の渉外係の方頑張って下さい。って良くわからん締め。